ドイツの元大統領ワイツゼッカー氏が亡くなられた事が日本で大きく報道された。ドイツの元大統領の死をこれほど世界各国で大きくとらえて報道するのはなぜだろうか?
それは、彼が残した名言があまりにも有名だからである。
「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」彼の残したこの言葉はドイツ人の心に刻まれただけではなく世界の多くの人々の心に刻まれた歴史的な演説であった。
私はドイツの歴史には詳しくはないが、若い頃、とりわけ日本が戦後問題で盛んに議論がなされている時、この演説を聞き日本の戦後問題のとらえ方に議論の余地がない結論が出たような気がした事を今でもはっきり覚えてる。
聞くところによると、ドイツ国民は戦後、永らく第二次世界大戦中ナチスドイツが犯したユダヤ人虐殺の暗い歴史から目をそむけ、忌々しい歴史とどう向き合うか戸惑いをもったまま復興の道を歩んできたが、そうした国民の戸惑いをワイツゼッカー大統領の歴史的なこの演説によって「過去に終止符」打って「世界に信頼されるパートナー」となり再び国際社会の一員として、その権威を取り戻したと言われる。
大統領は退任の演説でこうも語っておられる。「外国で自分たちがどう見られているかばかりを考えるべきではない。もっと重要なのは、鏡に映る自分たちの姿に何を見いだすかだ」
本当に歴史に残るすばらしい演説だと思う。
戦後70年を迎えた今年、今まさに日本でも戦後問題が再びクローズアップされ、また安全保障問題なども議論されてる最中、安倍総理がどんな談話を発表をされるのか注目される。
今一度「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」の言葉を思い浮かべる。日本が戦前の出来事をどう見つめ、どう評価し、これからどこへ向かうか世界の耳目が注目している。