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Retro-gaming and so on

Wizardry V: Heart of the Maelstrom

昔々、あるところに・・・いや、アメリカだけどな(笑)、音楽家になる事を夢見ていた学生がいた。彼はどこだか知らんが音楽大学に通うくらいには音楽が出来る男だったのだ。
そこで彼はコンピュータプログラミングに出会う。彼はここで、「作曲ソフト」を開発しようとしてプログラミングをマジメに勉強する事になったのだが・・・プログラミング自体が面白くなってしまって、ついついハマってしまったのだ。
そしてプログラミングを習得した辺りでは作曲ソフトなんぞを作る事はアタマからスッポリと抜けていた。
代わりに、彼はコンピュータゲームを作る事を夢想する。彼は元々かなりのアナログゲーマーだったのだ。
ただ、プロのゲームプログラマになれるかどうかはまだ分からなかったのだ。なんせまだパソコンの黎明期だったし。
彼は自作の一種ウォーシミュレーションゲーム、「パルティアの王」をアバロンヒルと言うウォーゲーム出版社に持ち込み、そこで自作ゲームを売ってもらう契約を取り付けた。1983年の事である。



ただ、これは単発契約だった模様で、「次の仕事」には繋がらなかった模様。
彼は次に、70年代半ばからハマっていたTRPGをコンピュータゲーム化したい、と計画した。CRPGもまだ黎明期だったので、市場的にもまだ食い込む余地がある、と見たわけである。
そして彼はCRPGを作り「ドラゴンの息」(仮)と名付けた。彼はその自作プログラムをWizardryと言うCRPGを作って売ってたSirTechと言うメーカーに持ち込むのである。
SirTechは「ドラゴンの息」(仮)を是非とも出したい、と男に打診してくる。ただし、同社のヒット連作、Wizardryの一つとして、と男に言ってきた。彼はそれを了承する。なおかつ、作り直しをしたい、と言うのがSir Tech側の意向であった。
その関係で彼は結局SirTechの一員となる。
当時、SirTechはWizardry IVのプログラム中であった。
そして彼の「ドラゴンの息」(仮)はWizardry III(1983年)の直接の続編として一から作り直される事となった。まずは当時SirTechが保有していたWizardryのゲームエンジンを利用する事となる。このエンジンの使い方をオリジナルのWizardryのプログラマであるロバート・ウッドヘッドがこの男に指南したらしい。かつ、サポートプログラマとして一緒に仕事もしたらしい(が、メインはWizardry IVのプログラミングだった)。
また、同様にオリジナルのWizardryの作者の一人である、アンドリュー・グリーンバーグも加わって「ドラゴンの息」(仮)のシナリオを修正したりする。基本的この3人の仕事によって、「ドラゴンの息」(仮)は1986年に完成するのだが・・・・・・Wizardry IVはまだ完成しなかったのだ。
Wizardry IVは難産なゲームで、「ドラゴンの息」(仮)のWizardry版より先に開発がはじまったのに、「ドラゴンの息」(仮)のWizardry版より遅く完成した。
結果Wizardry IVは1987年に完成して(4年前後かかってる)発売される。その間「ドラゴンの息」(仮)Wizardry版は1988年まで「2年間寝かされる」事となった・・・。美味しんぼ的に言うと熟成醤油状態である(謎
と言うのも、Wizardry IVは1984年辺りから長く宣伝していて、宣伝費が結構かかっていたのだ。従ってWizardry VとIVのナンバリングを逆にして、「持ち込みゲーム」である「ドラゴンの息」(仮)を先に発売する、と言う決定が出来なかったんだな。
と言うわけでWizardry IV発売の1年後、実際はあまり成功しなかったWizardry IVの後にめでたくWizardry版「ドラゴンの息」(仮)はWizardry V: Heart of the Maelstromと改題されて世に出るのである・・・・・・。



さて、かつては音楽家を目指した音楽大学生である、この「男」こそが、Wizardry Bane of the Cosmic ForgeWizardry Crusaders of the Dark Savantのデザイナ兼プログラマであるデビッド W. ブラッドリーである。そしてWizardry Vが彼のWizardryと言うタイトル作品でのデビュー作なのだ。
かつ、このVはかつてのロバート・ウッドヘッド&アンドリュー・グリーンバーグからD.W. ブラッドリーへバトンが渡された瞬間の作品であり、旧Wizのシステムの最後の作品である。
しかし、Wiz Vの方がWiz IVより先に出来ていた、と言うのはなかなか面白い話じゃないだろうか。そしてWiz Vが発売されるまでの2年間、デビッドはWizのシステムの限界を感じ、そして新システムの設計を目指す事となるわけである。もう1986年の段階から新システムのWizardryに対して思いを馳せてた、って事になるんだな。
実は、1986年に完成してたこのゲームは、1988年出版のゲームとしては古臭い、と市場には捉えられていた(当然だ、実は発売より二年前に完成してたゲームなんだから!)。何故なら、特に1987年はダンジョンマスターが出た年であり、多方面(当然CRPGプレイヤーを含む)にショックを与えていたから、だ。
当時は、今後のRPGはダンジョンマスタータイプじゃないとダメなんじゃないか、と言うような雰囲気にさえなっていたのだ(だからこそ次作、Bane of the Cosmic Forgeはダンジョンマスターを意識したような見た目になる)。

さて、先にも書いたけど、このゲーム、SirTech側の意向としてWizardry IIIの直接の続編として作られている。
が、日本では何でか知らんが、I〜IIIから独立した、全く別の作品っぽく紹介される事が多いのだ。不思議である。

<ストーリー>
ル・ケブレスの宝珠は暫くの間平和をもたらしたものの、やがて混沌の力が世界を覆い始めていた。これら超自然的な力は特に、リルガミンにある賢者の寺院の足元深くの地下洞窟を満たしていった。そしてそれは災禍(メイルストローム)と呼ばれるようになっていくのである。
雇われた冒険者(つまりプレイヤー)は、この洞窟に潜り、「混沌のエネルギー」を封印出来る「ゲートキーパー」の足跡を辿らないとならない。と言うのも、不幸な事に、ゲートキーパーはならず者の魔女、ソーンに捕らわれてしまったから、である。

というわけで、冒険者、つまり貴方はダンジョンに潜りまくるようになるわけ、である。

WizardryはIVまでは20x20の定形ダンジョンを踏破するゲームであった。
しかしWizardry Vは違う。今回、踏破対象は不定形ダンジョン、である。
正確に言うと256x256の範疇で描かれたダンジョン、だが。いずれにせよ、1フロア最大で今までの164倍の大きさのダンジョンである。ダンジョンクロールモノとして考えたら以前のWizと比べると全然スケールが違うゲームだ。
ただし、最初にやることは変わらない。キャラクタメイキングである。使う種族、就ける職業もWiz IIIまでと変わらない旧来のシステムである。
まぁ、ドワーフは戦士向き、エルフは魔法使い向き、ホビットは盗賊向き、ノームは僧侶向き、とか色々言われるけど、好きなように作ったら良い。
今回は次のようなパーティにしてみた。


要するに
  • ドワーフの戦士
  • 人間の戦士
  • 人間の僧侶
  • 人間の盗賊
  • エルフの魔法使い
  • 人間の魔法使い
と言うどっかで見たような編成のパーティにした。うん、テキトーで良いのである。
AD&Dなんかと違って、6以前のWizardryでは特に種族差には意味がないのだ。単純に、最初期にどの職業が就き易いのか、と言う程度の差しかない。TRPGで良くある、ドワーフが火炎攻撃に耐性がある、とかエルフは魔法耐性が高い、などと言う特徴は全くない。どの種族も成長しきったら属性は全部最高値の18になるし、ホンマ、AD&Dと違ってそこまで種族差には意味がないのだ(アスキーのファミコン移植版III以降はこの辺は改変されててPC版とは違ってる)。
あと、パーティで採用するクラスは上のような、戦士二人、僧侶一人(ここまで前衛)、盗賊一人、魔法使い二人(ここまで後衛)、ってのがもっともバランスが良い、と思っている。
それと、多分ファイナル・ファンタジーの白魔道士のせいで(笑)、僧侶は魔法使いと同じくらい弱い、って思われてるけど、実際のTRPGの僧侶は戦士並に強い。戦士より若干体力/攻撃力的に劣る、って程度である。従って、実際は僧侶とは言っても僧兵に近く、TRPGなんかではむしろ前衛職業なのだ。
FF的な白魔道士なイメージに騙されないように(そもそも、ドラクエIIだと前衛/後衛もなく、魔法使いも前線でバンバン戦ってた筈なんだけどな・笑)。
なお、キャラメイクの際に高ボーナスポイントが出るまで頑張る、と言う話が良くある。うん、間違っちゃいない。ただ、ボーナスポイントがどれくらいあれば良いのだろう。
個人的には各種族毎に、サムライになれるくらいのボーナスポイントが得られたらそれで良し、としている。「サムライになれるくらいのボーナスポイントを得る」と言うのとサムライになる、ってのは違うんだけど、あくまで目安、って事だな。



つまり、人間だったらボーナスポイントが23点以上あったら御の字、と。エルフ・ドワーフ・ノームの場合は18点以上が目安。反面ホビットは25点以上欲しい、と。そんなカンジ。
ぶっちゃけ、初期状態で侍に就くとすれば、エルフ、ドワーフやノームの方が有利だ、と言う事がこれで分かる。そしてAD&Dと違い、Wizardryにはレベルキャップなんて言う制限もないのだ。ついでに言うとオスもメスもない。

さて、パーティを組んだら早速ダンジョンへ潜る。SFC版なんかは初期状態で金をある程度持ってたりするけど、PC-9801版にはそんなのは無い。代わりに最低限の武器と防具を持っている。
行動はw(前進する)、a(左に向く)、d(右に向く)、x(後ろを向く)キーで、そして戸を蹴り進むにはkキー。魔法なんかはキーでタイピングせなアカンのでファミコン/スーファミ版Wizに慣れた人には結構キツいだろう。


一階入り口付近で既にサソリと闘うんだから、見た目結構嫌だよなぁ(笑)。
いずれにせよ、1〜2回戦闘したらすぐリルガミンに戻って馬小屋で休もう。


こうやってチマチマ、チマチマ、戦っていく。意外と最初は地味ゲーなのがWizardryと言うゲームなのだ。



この段階で爬虫類とも戦闘・・・コボルトとかじゃないのだ。
Fで戦闘、Uでアイテムを使用、Rで逃走、Sで呪文を唱える、Pで防御、Tでやり直し、と、当時の米国RPGのインターフェースはこんな風なカンジだったのだ・・・・・・。ファミコンの十字キーによるインターフェースが如何に素晴らしかったか分かるだろうか?



睡眠魔法、KATINOをタイピング。
ただ、この魔法はいわゆるCRPGの睡眠魔法であって、AD&Dのような極悪非道な魔法ではない(AD&Dだと睡眠魔法で眠りに落とすと一撃で屠る事が出来るが、Wizではそういった魔法ではない)。


宝箱をI(INSPECT=調べる)罠の是非を調査し、罠があった場合はD(DISARM=解除)する、と。罠の種類もタイピングせなアカンからPC版はなかなか大変である。スペルミスすると容赦無く罠が起動するのだ!・・・この辺、Mac版の方がまだラクだったかもしれん(もっともVはMacじゃ出てなかったけど)。

とまぁ、こうやって浅層を行ったり来たりしてる間にキャラのレベルが上がっていくだろう。


とは言ってもWizardry Vでは、1レベル上げるにせよドラクエやFFとは段違いの経験値を要する。


そう、TRPGよろしく、レベル1からレベル2に上がる為には1,000近い経験値が必要なのである・・・まぁ、TRPGに比べるとモンスターを倒して貰える経験値は多い方ではあるんだけどね。それでもモンスターと遭遇して倒すのを10回以上要するだろう。
まぁ、その間にWizardryにジワジワと慣れるしか無いのだ。焦ってはいけない。ゆっくりとやるゲームなのである。

まぁ、昔SFCで解いた事あるゲームではあるんだけど、PC-9801版はメンド臭いね・・・・・・。うん、やっぱゲームスタジオの移植ってツボ心得てるんだな、とか分かるわ。

スーパーファミコン版:


でもちょっと暫く遊んでようかな。懐かしいし。うん。

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