2023年5月24日、少年マガジン25号にて、「カノジョも彼女」が完結した。
ネタバレになって悪いが、大方の予想通り「四股成立」で大団円、である(笑)。
いや、いいんだよ。
前にも言ったけど、ネオスタンダードラブコメ、とか言ってるのは言い訳で、本質は単なるギャグ漫画だ。
つまり、ギャグ漫画として終結していいんだ。
古くは桂正和の「電影少女」と言う傑作漫画がある。
ただし、これもギャグたぁ言わんが、「コメディ」調で連載が始まったハズなんだ。
ところが、だんだんとシリアスになっていき、言わば「ドロドロの」愛憎劇へと相成った。
「男女関係」を内包する以上そういう「ドロドロ」がいつも話の中心に成りかねないなんだよな。
だから傑作ギャグ漫画「マカロニほうれん荘」では、そういう「愛憎」は(既に脇役になったツッコミ役の)そーじ君に振られてて、きんどーちゃんもトシちゃん25歳もそういう坩堝には積極的に関わらないポジショニングになってたわけだ(※1)。
「カノジョも彼女」も危うい一面があった。初期の「彼女」であるサキと渚の二人はいいんだ。実はこの漫画の構造上、この二人は「本妻」のポジションにいる。つまり二人が喧嘩しようと構造的には「安定」してんだよ。この二人だけなら作者の「ギャグ漫画」枠からそうはみ出さない。
それはこの二人が「ギャグ漫画」の範疇内で動ける設定を持って生まれてきた、からだ。
一方、三人目と四人目は違う。この漫画の「世界観」で見た時に、この三人目のミリカと四人目の紫乃はギャグ漫画のキャラとは言えない程重かった。
ミリカはまだいい。多分初期設定の「安定」をかき回す為だけに投入されたキャラだろうし、主人公とその「彼女」達に対して「常識」を突きつけるアンチテーゼ的なキャラとして投入された筈だ。
ところが四人目の紫乃が投入されてきた辺りからバランスが崩れだしたんだよ(笑)。このキャラはラッキースケベ専用キャラとして投入された筈なんだけど、その実、このキャラの内面は昼ドラキャラだ。女の怨念が凄い(笑)。
つまり、ギャグ漫画に投入されたシリアスキャラ(ラッキースケベ付き)のせいで世界観が崩壊しかけたんだ。
ファンタジーで言うと、魔王が出てきて邪神が出てきました、ってカンジで漫画がシリアス寄りになってちと焦ったんだけど。
さすがヒロユキ、絶妙なバランス感覚でシリアス化路線を避けてギャグ漫画として完結させたわけ、だ。
だからこれでイイんだよ。最後に大マジ化した魔王ミリカが場をかき回す事と相成ったが、邪神紫乃を倒した主人公の敵ではない(ヲイ
めでたく四人共彼女になった、って以上のラストはギャグ漫画である以上元々あり得ないわけだ。
大化けした漫画家のヒロユキ。今回は避けたがシリアス目も描ける作家だ、って事も判明した。
次回作が楽しみな漫画家だ。
※1: だからトシちゃん = 七味とうがらし先生 = モテキャラになった時点でマカロニほうれん荘は「最終回」を迎えなければならなくなったわけだ。