オススメしたいけどオススメしづらいアニメ、として、漫画原作のアニメってのがある。
別に原作漫画を汚してるからだ、って言うつもりはない。逆に、原作が面白い場合、アニメが面白くなるのは現行結構当たり前、なんだよな。
以前にも書いたけど、深夜アニメの場合は特に、原作完全準拠を目指してるわけで、そうなると、そのアニメの面白さ、ってぇのはアニメだから面白いってわけではない。むしろ原作漫画の方を薦めるべきじゃねぇか?ってなっちゃう。
そして、出版社主導の深夜アニメの存在の本質が原作漫画のPRな以上、本来薦めるべきはやっぱり漫画の方、なのだ。
そういう理由で、その辺は口を濁す事になってしまう。
さて、個人的には結構馬鹿馬鹿しいくだらない設定は大好きである。割にそういうトコがあるのでガールズ&パンツァーやキルラキルがヘーキなんだろう。まぁ、どっちかっつーと、ガールズ&パンツァーは苦し紛れの設定って言った方が正しいんだが。
ただ、馬鹿馬鹿しい設定でも良い設定と悪い設定がある。馬鹿馬鹿しくても大真面目にやってる、ってのは大好きだ。ただ、角川の新妹魔王の契約者みたいに狙ってやってる割にはクソみてぇに中途半端、ってのは大っ嫌いである。むしろあーゆーのはエロを舐めんな、って怒りが沸くほどだ。
フザけた設定なのに大真面目で面白い好例、ってんで、ここでは競女!!!!!!!!(2016)を挙げてみよう。
競女、って何だろうか。聞いたことないだろう。当然だ。そんなモノは現実には存在しない。
物語の設定的には、競女は、競馬、競輪、競艇、オートレースに次ぐ公営競技、要するにギャンブル、である。具体的には競技者は女性であり、水上で、腕や足を一切使わず、胸相撲や尻相撲で相手を倒して着位を争うゲームである。そして観客は誰が勝ち残るか、予想して(勝女?)投票券を購入するわけだな。
なんつー馬鹿馬鹿しい設定(笑)。作者はアタマがイカれてんとちゃうんか、とか思うんだけど、こーゆーのは大好物である。何せ登場人物達はフザけた設定の中で全員大真面目なのだ。
原作は少年サンデーに連載されてた漫画。
少年サンデーっつーのがなかなか微妙な雑誌だろ(笑)?世の中だとジャンプとマガジンが覇を競ってるわけだが、サンデーはそこに絡めていない。出版社の小学館は、むしろビッグコミック系とか、青年雑誌以上の方が元気があるように見えるくらいだ。あるいは幼年向けのコロコロコミック、とかな。
70年代くらいはサンデーはむしろマガジン寄りの雑誌だったんだが、80年代に入ってあだち充と高橋留美子が出てきてから雑誌のカラーがオタク寄りになってしまって全般的に言うとイマイチパッとしない雑誌になってしまった。
うん、パッとしない。けどどーゆーわけだか周期的にやたら熱い漫画が掲載される。しかもネタ的にはジャンプが扱わないようなジャンルに於いて、である。この作品のように鉄火場をテーマにした作品とか。
いや、正確に言うと、ジャンプでも公営ギャンブルをネタにした漫画があることはあった。ただし、あまり成功していない。唯一の例外がみどりのマキバオーかもしれないが、カリカチュアしすぎなのだ。真っ当にギャンブルをテーマに描こう、ってのはネタ的には青年誌の範囲であり、少年誌の範疇ではない、って事だな。
反面、オタク向け雑誌化したせいか、少年サンデーの支持母体は少年ジャンプの読者層より年齢層が高い。結果、ギャンブルの話が描きやすいし、読者的にも割に「分かる」範囲なのだろう。これが功を成して、ギャンブルのプレイヤーに焦点を絞った話だけではなく、職能をテーマにした作品、等はサンデーに於いては「描きやすい」話になっているのである。
さて、 競女!!!!!!!!に話を戻そう。この作品が極めて優秀なのは、同じサンデーにかつて掲載されてたモンキーターンと言う競艇をテーマにした作品の構造をフレームワークとして借りてきた辺り、である。
これ、人によってはパロディであるとか、あるいはパクリ、と言って攻撃するかもしれないが、それは違う。競女、と言う荒唐無稽な設定を活かす為に、王道と言える形態を提示した漫画をフレームワークを借りてくる、と言うのは頭脳作戦的に見て極めて正しいのだ。作者はなかなかアタマが良いし狡猾である(褒めてんのよ?)。このフレームワークを借りてきたお陰で読者は競女、と言うとんでもない馬鹿設定(笑)にさして抵抗も無くすんなりと入っていく事が出来るのだ。
一旦競女の世界に入り込めれば、そこは男の子が大好きなおっぱいとお尻の世界である。まさしく、男性のクソガキが好みそうなネタなんで、ある意味少年漫画の王道だろう。ただし、この作品の場合、そこにエロが全くない。何せこの世界のおっぱいと尻は武器であり凶器なのだ。現実世界のおっぱいとお尻もある意味凶器だが(違)、この漫画の場合意味が全然違うのだ。女性キャラは乳と尻から強烈な必殺技を繰り出す。腕や足を全く使わないバトル漫画、それがこの作品、競女!!!!!!!!である。
いや、この漫画以前にも乳や尻を使ってバトる漫画はいくつかあった。ただ、競女!!!!!!!!は恐らく胸/尻バトル漫画の完成形ではあるだろう。
さて、アニメ版「 競女!!!!!!!!」は原作単行本の1巻〜9巻辺りを上手い具合纏めてアニメ化してる。原作では主人公である高校生体操選手、神無のぞみの競女養成学校を目指す辺りから描き始めていて、プロ競女選手として活躍しはじめるトコまで描いてるが、アニメではその辺はバッサリ切って、瀬戸内競女養成学校内の話に絞っている。
実は原作では、競女養成学校には男性も通っていて、選手じゃない競女技師(って何・笑?)を目指す男子生徒も出てくるんだが、あまりその辺は本質的な流れじゃないんで、アニメではバッサリ切ってる。結果、このアニメには本当に女性キャラしか出てこないんだな。
結果、アニメではシンプルに競女選手を目指す女子訓練生達の友情・努力・勝利系ドラマになっていて、基本的には徹底的に胸と尻を鍛える話になっている。
いやまぁ、それでイイんだろ。何せ競艇と違って競女は現実には存在しない。そこで、視聴者に武器としての胸と尻に馴染んでもらう、ってのはドラマ作りとしては正解なのだ。
っつーか、武器としての胸と尻に馴染んでもらうって何だろ。自分で書いてて意味が分からん(笑)。しかし設定が設定なんでそうとしか書きようが無いのだ(苦笑)。ここには貴方が知らない胸と尻がある。ってホンマ、なーんやそれ(死亡
極めて説明しづらい話である(苦笑)。
だからオススメアニメ、なんつー話をしたくねぇのだ(笑)。
いずれにせよ、ハッキリ言って一種ギャグアニメ、って言っても良い。
ただし、それは、ドラマがギャグだから、ではない。登場人物は全員大真面目に胸と尻を鍛えていく。設定がギャグなだけだ。
そう、この作品が面白いのは、設定がイカれてるのに登場人物は全員それに対して真摯に取り組んでいる辺り、なのだ。分かるかな、そーゆーの。
言わば、登場人物全員が全員、設定作成者である作者の悪意に翻弄されてるのである(笑)。いや、これ褒めてんのよ(笑)?従ってこれだけの悲喜劇ってのはなかなかない。全て神の掌の上である。
そして尻の限りを尽くせだの尻は口ほどにモノを言うだの迷言の数々(良く声優陣は笑わずに耐えてた・笑)。断っておくがこれも登場人物は大真面目に口にしてるのだ。フザケてるのは作者だけだ。いや、これも褒めてるのよ?
いやぁ、文章にして書くと、ホント酷い話にしか思えない(苦笑)。ただ、繰り返して言うが、登場人物は全員大真面目である。そして熱い話なのである。問題は単に熱く胸と尻を鍛えてる辺りなのだ。っつーかアツい胸と尻の話でしかない。
参ったね。オススメしたくて勢いで書き始めたんだが(笑)、こんなに伝わりづらい話だとは思わんかった(苦笑)。
まぁ、一回観てみろ。「マジメにフザける」実例がどんなモノか、このアニメが教えてくれるだろう。