Stelo☆ panero

変態ですがよろしくお願いします。更新は気分次第、気の向くままに。新題名は、エスペラント語で、星屑という意味だったり。

【風船魔導士 クオラ】 第十三時限目 アルギナ・アルカは薬草です

2016-10-30 12:00:00 | 妄想小説

1)

 アネモネ魔法学院には、薬草部という、魔法薬を調合することが趣味な生徒たちの部活がある。

 自作の、体力回復ポーションを作ったり、かと思えば、生命力回復ポーションを作ったり、はたまた、魔力回復ポーションを作ったり…。気が付いたら、ポーションばかり作っているので、通称、ポーション部という、実名よりも長い呼び名がついてしまったことは、まぁ、置いておくとして、そのポーション部、もとい、薬草部の部室に、クオラはお邪魔していた。

 「 ねぇ?この銀色の液体が入った魔法薬は?」

 クオラが、珍しい色合いの魔法薬を手に、近くにいた部員、アリエル・ラファエロに尋ねた。

 「 スミスノンね。別名、鍛冶イラズ。無機物の修復ができる魔法薬よ。

   ハガネ草とリハブ草からできるわ。」

  「 じゃあ、この黄色いのは?」

 次に、黄色い液体が入ったビンを、アリエルに見せた。

    「 デュナミス・リカバー。体力回復剤ね。リハブ草を、十日乾燥させて作るの。」

 ついで、青い液体の【マギリカバー】は、魔力回復薬で、赤い液体が、【リブリターナー】という生命力回復薬だそうだ。使う草もそれぞれ教えてもらったが、そのどれもにリバブ草が使われていた。

  「 いろいろ、あるのねぇ。」

 クオラは、ふと、忘れ去られた様に置いてある紫の薬草に、視線が移った。

  「 ねぇ?これは?」

 アリエルは、不思議そうな顔で、分からないと答える。

  「 おかしいわね?こんな薬草、置いていたかしら?

    後で、顧問の先生に尋ねてみるわね。」

 そういって、済まなそうな表情を、アリエルは見せた。

 それが、アリエルを見た最後のときだった。


2)

 翌日のこと、「 ポーション部のアリエルが、行方不明になったらしい。」との報が、学園を駆け巡った。この時点では、暇な学生のいい暇つぶしとして、ではあるが。

  「 昨日は、元気だったのに。どこに?」

 途方に暮れて、寮に戻ると、生きた風船のタフィがふわふわと近づいてきた。

   「 元気ないわねぇ?具合でも?それとも…。」

 クオラは、ふぅっとため息をつくと、今日あったことをタフィに語った。

 タフィは、一通りクオラの話を聞くと、納得が行ったように体を揺らした。

   「 わかったわ。失せ物探しの風船魔法を教えるから。」

   「 たふぃ、ありがとう。」

 クオラは、タフィにお礼をいうと、さっそく教えてもらうことにした。


【つづく】

 



   「 」