Stelo☆ panero

変態ですがよろしくお願いします。更新は気分次第、気の向くままに。新題名は、エスペラント語で、星屑という意味だったり。

【風船魔導士 クオラ】 第十六時限目 アルギナ・アルカは薬草です④

2016-11-06 12:00:00 | 妄想小説

1)

 あたし、クオラの相棒の巨大風船タフィが、嬉しそうに、宙で揺れながら、かく、のたまった。

 

    「 さぁ、歌って。」

 

 (いや、いきなし、歌ってというのも、かなりの無茶振りかと思うんだけど…。タフィ?)

 

 なんて、内心、冷や汗をかきながら、あたしは、深呼吸をした。

 観客は、蝙蝠の羽が生えた宙に浮く大根【アルギナ・アルカ】だ。

 この薬草だか、モンスターだか分からない、中途半端な存在は、燃やすと麻薬成分の入った煙を出すし、かと言って、攻撃すると、耳を突いても聞こえちゃう、狂い死にする悲鳴を出すしで、結構、厄介なやつらしい。唯一、歌を聞かせると、大人しくなって眠ってしまうそうなので、眠った隙に、胴体を輪切りにすると、討伐完了。という訳で、歌を歌うことになったんだけど…。どうしよう?無伴奏では、あたし、マンドレイク以上に音痴だよ。


   「 クオラちゃん、歌わないの?カラオケいる?」


 期待に満ちた目で、タフィがあたしを覗きこむ。


   「 …………いる。」


 長い沈黙の末に、あたしは、タフィに白旗を揚げた。


   「 おけ、おけ。カラオケの風船魔法あるよん♪」


 そんなのあるんかいっ!


2)

 ぷふぅぅぅ~~~~~っ!

 ぷふぅぅぅぅ~~~~~~っ!

 ぷふぅぅぅぅぅぅ~~~~~~っ!

 

 と、黄色の魔法の風船に、吐息を吹き込む音が、謎の部屋に響いている。

 【アルギナ・アルカ】は、幸いにも、向こうからは襲ってこないので、安心して風船遊び、もとい、風船魔法を使えるわけだ。今、使おうとしているのは、あることが驚きだが、カラオケの魔法だということだ。


 ぷふぅぅぅ~~~~~っ!

 ぷふぅぅぅぅ~~~~~~っ!

 

 ぷふぅぅぅぅぅぅ~~~~~~っ!

 

 

 何十回か、吐息を吹き込んでいくと、背丈ほど黄色の魔法の風船は膨らんでいた。

 ちゅっとキスを黄色い膜にすると、魔方陣が浮かび上がり、カラオケ魔法が完成する。

 宙に浮かんだ選曲リストから、曲を選ぶと、手元にマイクが出現し、イントロが流れ出した。

 クオラは、ままよと歌いだした。


【つづく】


 



 

 

 



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