Stelo☆ panero

変態ですがよろしくお願いします。更新は気分次第、気の向くままに。新題名は、エスペラント語で、星屑という意味だったり。

【詩集:わすぷるぎすの朝】 序

2013-03-23 12:03:18 | 創作
ぬくぬくと しとねにくるまれつ

うつつとゆめのはざま ふと おもふ


くのおおき しゅらのちまたをかよいぬ

つなわたりのごとき いきざまをふむ

すべてのものは なぜ かくのごとく

ふつうに いきられるのだらう


ゆらゆらとふあんていに消ゆ

むかしからの人生に帰す

るてんするボクを捨つる

うつくしき魔女が交差する 春の払暁


【妄想小説】180GB

2013-03-12 14:47:42 | 創作

1)

 さて、街を歩けば、芸能スカウトに何人でもお声掛かりが来そうな美少女
祀風部 りりか ( しなとべ りりか )には、数年来の一つの大きな夢があった。

 数年前の夏休みの昼下がりに、お気に入りのローズティーを啜りながら、
ふと、見かけた、一枚の画像。筋肉質の碧眼の男性が、気象観測用の気球を、
八フィート大まで、自らの吐息でふくらませようと、躍起になってる画像を
見て、思ったこと……、

 りりかもこの大きな風船を、吐息で四十分以内に、ふくらましてみたい。

2)

ほへぇ~~…… ――――――

 待ちに待った品物を、最初に見たときのりりかの感想が、
この感嘆の溜息だった。

  「 おっきい…。」

 直径にして、三十センチはあるし、もっと小さいと思っていた吹き口だって、
ゴム手袋の挿入口くらいは広い。顔の下半分が、隠れてしまいそうな大きさだ。
 それは、そうだろう。何せ、めいいっぱいふくらませると、人がすっぽりと
入れるという代物なのだ。

 その、全体のイメージを言えば、一回り大きめのブーブークッション
といったところか?

 ブロアでふくらまさないと、息ではふくらみませんといったネットの注意書きを、
りりかは、脳裏に思い出したが、それでは、彼女の夢は潰えてしまう。

 「 りりか、がんばるもん。」

 一大決心を決めた表情で、唇をかみしめ、誰ともなしに呟くと、
りりかは、厚めのゴム製の180サイズのジャイアントバルーンを
手に取って、思い切り、深呼吸をし始めるのだった。

3)

 ひゃぁぁぁぁ…っ!と、肺の隅々まで空気を吸い込むと、りりかのほっぺは、
秋にせっせと餌をため込んだリスみたいに、ぱんぱんにふくらませる。

 すかさず、ぷふぅ~~~~っ!!!!っと、大きな風船に、ためこんだ吐息を
残らず吹き込むこと、数十回、今の今まで溜まっていなかった、りりかの吐息が、
平らにしぼんで、元気がない風船に充分に入り、その身を丸くふくらましつつあった。

すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!

 こうして、間断なく、頬を膨らませ、風船に息を吹き込むりりかの身体つきは、
さすがに、読者モデルをこなす蜾蠃乙女(すがるおとめ)らしく、嫋(たお)やかで、
華奢な骨格をしているが、風船を吐息でふくらませることには、自信があった。

すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!

 そのことを証明するように、風船は、りりかの呼吸に応えて、成長していく。
 すっぽりと、りりかの上半身が隠れるほどにふくらんで、両手を広げないと、
風船の端から端まで届かない。いずれにしても、ふくらまし甲斐のある子だ。

すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
 
 流石に、酸欠なのか、りりかは、脳のあたりが、ジンジンと響いてくるのを
感じて、一旦、バラ色の健康的な口唇を、吹き口から離して、りりかの吐息が
風船から漏れないように、広めの紐で軽く縛って、とろんとした恋する視線で
篤(あつ)く見つめると、堰を切ったみたいに、大きなゴム風船を愛撫し始めた。
4)

 女の子らしい調度品が揃った広い室内に、しばし、甘い声が響き渡っていたのも、
束の間で、汗ばんだほっそりとした指先で、りりかの身の丈より、少しばかり低く、
ふくらんだ巨大風船の口を縛っていた紐を、慎重に解きながら、中が漏れないように、
吹き口に口づけながら、同時に甘い吐息を吹き込んでいく。

すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!
すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!すぅ…、ぷふぅぅぅ~っ!

 風船を抱いているというよりも、しがみついている様相を呈している
りりかの手の平から伝わるゴム幕の感触は、適度な緊張感のある張りが、
巨大な雫状にふくらむにつれて、危険信号をりりかの口元に送っていた。

(あ、そろそろ、潮時かも…。)

 りりかは、ふくらますテンポをゆっくりめから、短く切る間隔へと変えた。

すぅ…、ぷふぅっ!すぅ…、ぷふぅっ!すぅ…、ぷふぅっ!

 りりかは、境界線を見極めるように、少しづつ吐息を吹き込んでいく。

ぷぷぷぷぷ…。

 きゅぅっと目をつむって、入り込めるだけの吐息を、風船の中に…。

5)

ぷぷぷぷ…っ!

 りりかが、180サイズの巨大風船に最後の吐息を吹き込み、
風船も悲鳴をあげようとした瞬間、好事、魔多し。
部屋に、両親の帰宅を知らせるチャイムの音が響きわたった。

ピンポォ~ン♪

ぷはっ!

 「 わひゃぁっ!」

 いきなりのチャイムの音に、りりかが驚いた拍子で手放した吹き口から、
ロケットのように、時間をかけて、ゆっくりとためこんだりりかの吐息が、
一気に噴射して、部屋中を暴れまわった。

ぼふふふふふ…

 「 ぁ…っ!あぁっ…!」

 せっかく苦労して、大きくふくらまし、育てた風船が、散々っぱら、
暴れまわった後で、気が抜けたりりかの頭上にへろへろと落ちてくる。

 「 ただいまぁ…。」

 涙目になりながら、傷心のりりかは、しぼみきった風船を片付けて、
両親を出迎えるために、階下へと降りてゆくのだった。

【了】

あれから2年

2013-03-11 15:43:28 | 最近の話題
岩手・宮城「復興できる」4割に…被災者調査(読売新聞) - goo ニュース

 「もう…」なのか、「まだ…」なのか? 兎にも角にも、二年である。
  死者、行方不明者、合わせて、2万852人の犠牲を出した大震災から、二年の月日が流れた。
  「復興できる」と思えるようになっただけ、よいことなのかも知れない。
  今日この日、犠牲者のご冥福と、一日も早い被災地の復興を祈らずには居られない。

*【妄想小説】の続きは、翌日とさせていただきます。

【妄想小説】180GB

2013-03-10 16:31:40 | 妄想小説

1)

薫風が柔らかな春の芽の香りを、自宅の緑が深い庭に運ぶ候。
待ちに待った来賓を知らせるチャイムが、部屋に響いた ———

「 はぁい!」

 その日、独りで留守番をしていた祀風部 りりか ( しなとべ りりか )は、
待っていましたとばかり、南向きの玄関の扉を開いた。

部屋の奥から出てきたのは、アイドルばりの顔立ちの小柄で華奢な美少女で、
配達員も呆気に取られている。そんな少女は、読者モデルをしてまで稼いだ
バイト代を費やして購入した中身が入った、二十センチ四方、高さ十センチ
ほどの平らな段ボール箱に、無造作に載せられた配達記録の欄内へ、予めに
持ち合わせのシャチハタ判を押して、箱を引き取ると自室へ…。

 「 来た、来た…。」

 りりかは、ビニール袋に入った中身が二つあることを、確認して、
満足したように微笑み、三日前の出来事を思い出していた。

2)

 りりかが一日の大半を過ごす、二階打ち抜きの二十畳はある広い部屋の床は、
現在、色とりどりのゴム風船が、春の花園のように敷き詰められていた。

すぅっ…、ぷぅぅ~~~っ!
すぅっ…、ぷぅぅ~~~っ!
すぅっ…、ぷぅぅ~~~っ!

規則正しい呼吸と共に、りりかの愛らしいくちびるに添えているダイヤモンドクリアの
3フィート大までふくらむゴム風船が、彼女の吐息を吹き込まれ、徐々に大きく育っていく。

すぅ…、ぷぅぅぅぅぅっ!!!

 姫系のシングルベッドの上で、女の子座りをしているりりかは、恍惚の表情で、
八十センチ大まで、ふぅふぅと時間をかけて、丸くふくらまし、一旦だが、

ぷはぁっ…♡
と、吹き口に密着させていた薄紅色の唇を、風船から離し、自由にしてから、
風船の口元を軽く広めの紐で縛り、優しく両手で包み込むように風船を抱く。
じっと、しばらく、矯めつ眇めつ、風船を眺めてから、やおら、

ちゅっ♡

と、風船の柔らかなゴム幕に口づけると、堰を切ったように…、

ん…ちゅっ♡…ちゅっ♡

と、風船に隈なくキスの嵐を与え、

 「 ん、あはぁ…。」

などと、たまに艶っぽい声を出して、

ちゅっ♡

と、何度目かのキス。

 「 ん~…?まだ、大丈夫そ、かも?」

りりかは、やや不満げに、ひゃぁぁっと咽喉を鳴らして、
空気を思い切り吸い込み、肺にいっぱいに満たすと、

んぷ…、ぷぅぅぅぅぅっ!!!
すぅ…、ぷぅぅぅぅぅっ!!!
すぅ…、ぷぅぅぅぅぅっ!!!
すぅ…、ぷぅぅぅぅぅっ!!!

 間断なく、90センチ近くまで、吐息を吹き込んで、
一旦、風船を口元から離さないままに、休憩して、

 『 もう、ダメだよぉぅ…。』

 という風船の声がするけど、もうちょっと頑張ってと、
励ましながら、りりかは、最後の吐息を、風船に込めた。

すぅ…、ぷ…、ぷぷぅぅぅぅぅっ!!!

 刹那、ぼんっという爆ぜる音がして、風船が破裂し、
りりかは、魂が抜けたような虚無感を抱きながら、

 ( もっと大きくふくらむ、代わりの子がいればなぁ…。)

 そう、強く感じ、階下のパソコンの電源を入れた。

3)

 そして、今日、巨大風船が、りりかの手元に届いたのだった。

【つづく】