トラップの先には、背中に蝙蝠の羽が生えている大根がいた。
クオラが、振り向くと、姿見が背後にある。素直に考えると、姿見の中に引き込まれたらしい。どう見ても逃げられないので、前を塞ぐ謎の大根について、タフィに尋ねてみる。
「 タフィ、あの大根って、何?」
「 あれは、マンドレイクの品種で、アルギナ・アルカね。
ああ見えても、薬草…というより、精神に作用する毒草ね。」
タフィの説明によると、アルギナ・アルカを乾燥させて、タバコのように吸引すると、途轍もない多幸感を得て、痛みも遠のくが、一旦、薬の効果が切れると、ショック死もありうる地獄の痛みが待っている。要は、覚醒剤だった。
「 倒すには?」
「 攻撃すると、耳を突いても聞こえちゃう、狂い死にする悲鳴を出すし。」
「 うん。」
「 焼くと、毒の煙が広がっちゃうし。」
「 うん。って、八方塞がりじゃない?」
「 だから、歌ね。歌を聞かせると、眠っちゃうから、その隙に。」
タフィの説明で、クオラは歌うことになってしまった。
【二日後につづく】
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