なかのひとよ『#ブラックボックス展』 @art & science gallery lab AXIOM
開幕直後の週末に行きました。
会期が終わり、ネタバレ禁止期間がすぎたので書きます。
私が行ったときにはお客さんは他に誰もいなくて、ただだだまっ暗な空間の中でびくびく…
もしかして、この様子が暗視カメラで観察されたりwebに公開されたりしていて、「”観覧しに来た人”がじつは”観覧される側”になってる」とかいう作品…?!という恐怖にまず襲われ。
それから。
いやいや、ジェームズ・タレルの「南寺」みたいに目が慣れたら何かが見えるのかもしれない…
なんて思いながら目が慣れるのをじっと待ってみたり。
でも、しばらくしても何もなくて。 あれ…ひょっとして”ブラックボックス”って…
「タイトルのまんまか!?」
って気づいて、複雑な気持ちで展示室を出た所に鏡が置かれていて、狐につままれた顔つきの自分を鏡で見せられる…
「あー、こういう作品か…」
とか思いつつ会場を出ようとしたところで、
”「絶賛」「酷評」、もしくは「嘘」のSNS拡散はOK”
という指示書を受け取って…
あ、作品は”ギャラリーの中”でなく、こっちの”パフォーマンス”だったのか…! ヤラレタ…!!って気分になりながら帰った。
この展覧会では、”「嘘」のツイートをすること”が、”作品(パフォーマンス)に参加する手段” で、それをしないと作品が完結しないってことだよなぁ…ともやもやしつつも、それに加担するべきか考えて考えて…結局何もツイートできなかった。
何が”嘘”なのか考えるほどわからなくなったし、ここで面白がって加担することが良いことなのかも最後までわからなかった。
これに参加しないのはある意味”ルール違反”なのかもしれないし、ノリが悪いよなぁ…と思いつつも、そんなノリの強要は暴力的にも思えた。
一方で、タイムラインで「#ブラックボックス展」のツイートを目にしては、ツイートできる人が羨ましくも思えたりもした。
普通の感想がNGだと、このルールに「乗らなかった人」は「いなかった人」と同じになってしまうし。
会期終了近くなった頃、SNSで作品の様々な”評判”を目にすることになるんだけど、わたしが行ったときは「他にお客さんいなかった」し「無料だった」ので、「大行列だった!」とか「千円払って見た」とかいうツイートを見ても「あー、これも嘘ツイートのひとつかー…」と思ってしまって何も確認しなくなってしまったのも怖いし、後から、自分が見た「本当」がいつのまにか多くの人の「本当」じゃなくなった、と知ったのも怖かった。
それから、なによりそれらが「本当」なのかも未だにわからない。
展示が終わってからも、いつまでももやもやと気分が晴れないままの展示。
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■DATA
なかのひとよ『#ブラックボックス展』 @art & science gallery lab AXIOM
会期:2017年5月9日(火)-6月10日(土)
時間:13:00~19:00
休廊日:日月祝
なかのひとよ(英:Hitoyo Nakano)はTwitterアカウント「サザエBOT」の収集データに基づく集合意識、または2061年からやってきた未来人を自称する匿名のヴァーチャル・アーティストです。本展覧会では、作者の意向により展示内容の情報開示は致しません。また会期中、来場者による会場内での写真撮影・動画撮影・録音等はいかなる場合も禁止とし、会期終了までの期間、作品や展示環境に関する事実をインターネット上に発信・公開する行為、第三者に公言・口外する行為を禁止させて頂きます。
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