昨年は「日産アートアワード」でグランプリを受賞され、現在は森美術館で開催中の「六本木クロッシング」にも出展されている毛利悠子さんの個展、『Pleated Image』@waitingroom に行ってきました。
(waitingroom入り口)
私が毛利さんの作品に出会ったのは、2014年の札幌国際芸術祭や横浜トリエンナーレでしたが、今回の個展はそれ以降に見てきた作品とは少し毛色の違う様子でした。(先日まで名古屋で開催されていた「THE BEGINNINGS (or Open-Ended) 」で発表された新シリーズなのだそうです。)これまでは、ユニークな仕掛けで会場の環境に影響されながら動きを変えていく”装置”のような作品を見てきましたが、今回はその”装置”の”動き”をスキャナーで捉えた作品の展覧会でした。
(ギャラリーの方にお伺いして、写真を撮影させていただきました。)
スキャナーの光がゆっくりと動きながらオブジェクトをスキャンしていくので、一枚の平面作品の一方向に時間の軸が現れているのが面白い作品です。 長時間露光で撮影した写真のようでもありますが、動きがRGBの光の筋に分割された線になって現れたりするのが写真とは違う印象を与えています。一度情報に変化したものが目の前に現れているんですね。
(ライトボックスに入れられた平面作品。はじめは何の写真かわかりませんでしたが、毛利さんの装置のような作品の中で動きまわる”毛箒”や”ロープ”の写真です。カメラで撮影するのとは違った光の跡が見えるのがまた面白いです。)
メインビジュアルに使われている蝶々の作品も素敵でしたが、スキャナの天板に書いてある文字を好奇心で読もうと近づくと自分の顔がスキャンされてしまう作品が、なんだか皮肉めいているようで面白かったです。
作品を撮影するためにつくられた装置が、単純な動きを繰り返し、その中で3つのスキャナがライトのような効果も与えながらスキャニングを続ける部屋はインスタレーション作品としてみても面白かったです。毛利さんの作品の装置の動き、同じことを繰り返していても周りの環境によってすこしずつ動いていくのがなんだか生き物のようで見飽きないんですよね。
ここでスキャンされた画像はFlickrでも公開されています。時系列に並べられた画像を見ていると、同じスキャナの画像でも違ったイメージになっていて、会場の環境で作品が変化していく様子に気づくことができました。今までと少しイメージの違う平面作品だけど、これまでの立体作品と同じような偶然性が伝わってきてなんだか面白く感じました。
こちらの個展は5月15日(日)までです。
waitingroomは、恵比寿駅からと代官山駅からはほぼ同じくらいの近さの場所にあるギャラリーでした。春の陽気の中、お散歩しながら見に行ってみるのははいかがでしょうか?
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■DATA■
毛利悠子 個展『Pleated Image』@waitingroom(恵比寿)
会期:2016年4月9日(土)〜5月15日(日)
開廊:月曜=17:00~23:00、金・土・日曜=13:00~19:00
料金:無料
「日産アートアワード2015」でグランプリを受賞、今年の「六本木クロッシング2016」にも参加する毛利悠子の3年ぶりとなる個展『Pleated Image』。今展では名古屋のMinatomachi POTLUCK BUILDINGで開催された展覧会『THE BEGINNINGS (or Open-Ended)』(第2期)で発表した、スキャナーとスキャニングされた画像を軸にした新作インスタレーションをさらにブラッシュアップさせて展示する。
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