東京シティビューで開催中の「MediaAmbitionTokyo2017」に行ってきました。
「かつて、東京は技術と芸術の都だった。」
「東京が置き去りになる前にアートで東京を変えよう。」
というショッキングなキャッチコピーに衝撃を受けたこのイベントも今年で5回目!「最先端のテクノロジーカルチャーを実験的なアプローチで都市実装するリアルショーケース」では、今年もさまざまな切り口の作品が展示されていました。
まずは昨年末の東京駅でのプロジェクションも手がけたWOWの「TOKYO LIGHT ODYSSEY : future by LEXUS」。半ドーム状のスクリーンに映し出された映像は、身近な風景がモチーフになりつつも、スクリーンの真ん中に立つと没入感・浮遊感がすごい!自分が空を飛んでいるような気分になります。
(「TOKYO LIGHT ODYSSEY : future by LEXUS」 / WOW)
そして今年のMATは、このような映像作品以外にもバラエティ豊かなメディアを使った作品が並びました。
生き物をテーマに扱った作品を多く発表されているAKI INOMATAさんの作品「Think Evolution #1 : Kiku-ishi(Ammonite)」で、今回主役となっているのはタコとアンモナイト!
6,600万年前に恐竜とともに絶滅したアンモナイトは、タコやイカの近縁だと言われているそうです。
(「Think Evolution #1 : Kiku-ishi(Ammonite)」 / AKI INOMATA )
CTスキャンしたアンモナイトの化石のデータから樹脂で透明な殻を製作し、これとタコを出会わせる映像作品が展示されていました。出会うことがないはずの2つの生き物が技術によって出会う、というのは、なんだか不思議な感じもします。タコって少し気持ち悪いイメージもありましたが、スケルトンの殻と光が透けるような乳白色のタコは、新しく美しい生物のようにも見えてきました。
生き物を扱った作品では、岩崎 里玖さんの「silk print」も印象的でした。
”蚕を3dプリンターとして考えた”というこちらの作品、「蚕をでっぱりのない平面上に置くと、繭を作らずに糸を吐き続ける」そうで、紡糸の工程を省いて一気に蚕から布に変えてしまうという方法と、出来上がった”絹の不織布”(?!)の美しさの両方に驚かされました。
(「silk print」 / 岩崎 里玖 )
今回のメイン会場、東京シティビューにハマっていたのは落合陽一さんの「Levitrope」。ステージの上で回転しながら浮遊する金属球。
昨年の「Tokyo Design Week」でも展示されていた作品ですが、作品のはるか下にある東京の街並みやステージ・球体に映り込む空などが作品と一体となって、全く別の作品のようでした。”装置”でありながら、まわりの風景を取り込む”インスタレーション”のような作品になっているように感じました。
(「Levitrope」 / 落合陽一)
同じく落合陽一さんの「コロイドディスプレイ」。しゃぼん膜に当てる超音波の周波数によって、質感が変化して見える透明スクリーンですが、こちらもまわりの風景を取り込んでしまう作品ですね。
(「コロイドディスプレイ」 / 落合陽一)
そして、アナログながら面白かったのが寺田鵬弘さんの「寺田の展示」。
例えば、”目覚ましを止めてくれる機械”や、”時間になったら勝手に紅茶を入れて休憩時間にしてくれる機械”、”定時になったら電気がつかえなくなるコンセント”など、仕事の効率で考えたら完全に”無駄”でナンセンスな機械だけど、でも、”こうだったらいいのになぁ”で考えるとちょっと嬉しい機械が並んでいました。
(「寺田の展示」 / 寺田鵬弘)
”私はこの国は忙しすぎると思います。” ”これ以上社会を優先させる必要はないのです。” というステートメントは、”強烈な” ”衝撃的な”メッセージではないかもしれないけれど、日常の生活を少し止まって考えさせてくれるように感じられました。
ほかにも、昨年の六本木アートナイトでも話題だった後藤 映則さんの「toki- series」や、油井 俊哉さん・横田 智大さん・橋田 朋子さんによる「floatio」など”動き”のある作品、絵画と彫刻の中間のような松枝 悠希さんの「Today’s happy colors!」のようなユニークな作品が並びます。
(「floatio」 / 油井 俊哉・横田 智大・橋田 朋子)
(「Today’s happy colors!」 / 松枝 悠希)
過去のMEDIA AMBITION TOKYOでは、日中だと明るくてディスプレイが見づらいなぁ…と思うこともあったのですが、今回は映像以外の作品も多く、昼も夜もそれぞれに違った作品の魅力を感じられそうです。
会場によって異なりますが、東京シティビューでの展示は3/12(日)までです。
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■DATA■
会期:2017/2/11(土)~3/12(日)
※開催期間は会場によって異なります。
今年で5回目を迎えるMEDIA AMBITION TOKYO [MAT] は、最先端のテクノロジーカルチャーを実験的なアプローチで都市実装するリアルショーケースです。六本木を中心に、渋谷、原宿、銀座、飯田橋、御茶の水、水道橋、お台場、代官山等、都内各所を舞台に最先端のアートや映像、音楽、パフォーマンス、トークショー等が集結します。
参加アーティスト:Rhizomatiks Architecture, WOW, 落合陽一, Takram(松田聖大+伊東実+牛込陽介),AKI INOMATA,松枝悠希,寺田鵬弘,脇田玲&小室哲也, 油井俊哉+横田智大+橋田朋子,後藤映則, 佐々木遊太, 水口哲也,ダヴィッド・ルテリエ,ノガミカツキ(DIGITAL CHOC 2017 コラボレーションアーティスト)
楽しく記事を読ませていただきました。
floatioも取り上げていただき、大変光栄です。
ただ、floatioの作家名が書いてある2箇所が
油井俊哉・油井俊哉・橋田朋子となっていますが
正しくは油井俊哉・横田智大・橋田朋子です。
お手数ですが訂正をしていただけますでしょうか?
アーティスト名の表記間違い、大変失礼いたしました!2箇所も間違えてしまって申し訳有りません…
修正いたしました。
floatio、”引力”を象徴するようなりんごがぷかぷかと気持ちよさそうに浮かんでいるのがとてもユニークで、それがつぎつぎと隣の装置にパスされていく様子もとても可愛らしくてずーっと見てしまいました!
ちなみに、昨年の東京デザインウィークでも「Brightness Bar」や「Now Loading」など拝見させていただいていました。理工学研究科のなかでこんな研究されているなんて素敵ですね。これからの作品も楽しみにしています^^