ライプチッヒ中央駅は、古く、大変大きな駅ですが(戦後の再建)中は近代的に改装されています。その様子は前回記事にいたしました。
今回は、そのホームの大きな蒸気機関車を紹介いたします。(2008年頃撮影、当時の情報をもとにしています。)
ライプチッヒ中央駅の52形蒸気機関車
頭端式(櫛形)のライプチッヒ中央駅24番線ホームは実物の車両を展示するスペースになっていて、数輌の機関車が留置、展示されていました。スマートで明るい列車が出入りする駅で、ひときわ異彩を放っていた巨大な機関車がドイツ国鉄52形蒸気機関車5448号機でした。
まさか、ホームでSLが見られるとは思っていませんでしたから大喜びで撮影したものです。車体はピカピカで、今にも煙を上げて動き出しそう。ボイラー前部の大きな羽根のようなヴィッテ式デフ(除煙板。日本の門鉄デフ)、赤い動輪、欠き取り式のテンダー(炭水車)など、武骨な中にも合理性がにじみ出ている外観はドイツのSLそのものです。
24番線ホームの52形蒸気機関車の雄姿。戦時設計のため徹底的に簡略化された外観は凄みさえ感じさせます。
この時は後方に離れてクラシカルな電気機関車が置いてありました(画面奥)。
ナンバーの最後の数字(-7)は、チェックデジットで、付番にも管理第一のドイツらしさが窺えます。
52形は戦時輸送強化のための設計で、約6,200輌が製造されました。馬力優先の1-E(先輪+動輪5軸)の軸配置です。戦時設計と言えば、日本では一部に木製部品を取り付けたD52形が代表ですね。
車体各所に書かれた表示がドイツらしく几帳面です。
大型でざっくりした炭水車。資材節約のため独特の形をしています。
日本では公園などで雨ざらしのSLが多い中、屋根の下で展示される52形は大変うらやましい境遇です。上野駅地下ホームにC62を展示するようなものでしょうか。
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ライプチッヒ点描 <2>
アウグストゥス広場から見たゲヴァントハウス(Gewandhaus)
初代ゲヴァントハウスは1781年、ホールを有する織物会館として完成、メンデルスゾーン(1809-1847)がカペルマイスターを勤めた(1835-47)ことはよく知られています。その後、手狭になったことにより1884年に新しいゲヴァントハウスがコンサートホールとして落成します。しかし、1944年の空襲被害により長く放置され、ようやく1981年にこの地に落成したものです。その際、当時の音楽監督クルト・マズア(1927-2015)が音響面で協力しています。ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の本拠地です。
ゲヴァントハウスの向かい側にはライプチッヒ歌劇場(Opernhaus Leipzig)
空襲により全壊し、1960年再建されています。歌劇の伴奏はライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団メンバーがローテーションで担当しているそうです。
メンデルスゾーン・ハウス(博物館)
ゲヴァントハウスにも近い閑静な地区にあり、建物の一角が博物館となっています。場所はやや分かりにくいです。壁に大書してあるのですが気づきませんでした(笑)。広告塔などは規制されているのでしょうが、その方が当然と思います。
かつてメンデルスゾーンが暮らした場所で遺稿や遺品などゆかりの品々を眺めながら19世紀の暮らしぶりを想像するのも楽しいでしょう。
ライプチッヒ大学楽器博物館(グラッシィ博物館)入口
他に工芸、民族博物館を含む施設です。グラッシィは寄付者のライプチッヒの実業家、フランツ・ドミニク・グラッシィ氏に由来。たくさんの古楽器コレクションは見飽きることがありません。
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ウェールズとザクセンの旅は今回で終わります。ふたつの国で垣間見た機関車や列車は旅の途中の偶然の出会いでしたが、忘れられない思い出です。
2021年12月から半年ほど不定期で連載してまいりましたが、ご愛読いただきありがとうございました。機会がありましたら、再び、ヨーロッパの鉄道を取り上げてみたいと考えております。∎
RICOH / GR DIGITAL
ウェールズ編
ウェールズで出会った車両1 スランゴスレン鉄道 その1
ウェールズで出会った車両2 スランゴスレン鉄道 その2
ウェールズで出会った車両3 世界一長い名前の駅
ウェールズで出会った車両4 スランベリスの赤い機関車
ウェールズで出会った車両5 スノードンの山登り
ドイツ編
ドレスデンで出会った車両1 ドレスデン中央駅の赤い機関車
ドレスデンで出会った車両2 ドレスデン中央駅のICEとレギオ
ライプチッヒで出会った車両1 ライプチッヒ中央駅にて
ライプチッヒで出会った車両2 ライプチッヒ中央駅の52形蒸気機関車