▍川越線の9600
川越線を走っていた9600形(キューロク)を2枚ご紹介します。
なにしろ50年も前のこと、写真は残りましたが、いつ、どこで撮影したものか正確には覚えていません。おそらく南古谷ー指扇(さしおうぎ)間と思います。難読地名だったのが幸いして記憶に残りました。
念のため、ストリートビューで撮影場所を確認したのですが、住宅や集合住宅が建ち並んで別世界になっていて魂消ました。半世紀以上が経つのですから当然なのでしょうが、時の流れの激しさを感じないわけにはいきません。
南古谷駅を発車した大宮行き旅客列車。(おそらく、1969年頃の夏に撮影)
早朝、草いきれのする踏切で待ち構えていると59674号機が客車を牽いて朝もやの中からやってきました。辺りは田んぼか畑で所々に林が見えるというような風景が広がっていました。
59674号機は、大正11年(1922)に製造。1年後には関東大震災で被災(脱線)しています。大宮機関区を最後に1969年10月に北海道に転出、1974年3月に稚内機関区で休車となり、翌年3月に同区で廃車されました。
9600形が牽く貨物列車
*粒子が荒らく、番号板は読み取れません。また、右側の白い斑点は花と思われます。
9600形が貨物列車を牽いて荒川の堤防まで登ってきました。デフ板(前部の煙除け)が小型のタイプです。
黒い蒸機機関車が牽引するこれまた黒一色の貨車の列は昭和の風景のひとつと言えるでしょう。競合脱線事故により、簡易な2軸の貨車は放逐されて、あの独特な通過音も聞けなくなってしまいました。そして、最近は貨物列車の姿をほとんど見なくなりました。
そして、汽車の写真を見るたびに、あの時ミラーレス一眼があればよかったなあと思います。無駄な夢想ですが。∎