かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

春の嵐と桜の精

2019年04月07日 | おんがく

すごい風の音で目が覚めた。
午前2時半。

竜巻かと思った。
思わずベッドから出て、バスルームへ避難したほうがいいかしばらく部屋の中をウロウロした。
玄関のドアを開けようとしても、風に押し戻されて開けられなかった。

桜の花は大丈夫だろうかと心配になった。

翌日は快晴。
伐採される桜のお別れ花見会には十数人が集まった。
フォトセンターのNさん以外はみな女性。

テーブルにはたくさんの美味しいものが並んだ。

職場近くに昔からある評判の店のお稲荷さん、湯葉でおにぎりを巻いた湯葉まんじゅう、お寿司にお団子、いもフライ、手作りのふき味噌付きの野菜スティック等々。

わざわざうどんを茹でてきて、ポットに用意した美味しいおつゆと、刻みネギと揚げ玉、かまぼこをその場でトッピングして振る舞ってくれた人も。


若いお嬢ちゃんや酒飲み衆の集まりでは、こうはいかなかっただろう。
マダムたちに感謝である。


想定外だったのは、強風。

近くのグラウンドの土と、黄砂もとんでいるのか、青い空が時々薄く黄色に曇り、髪はビュービューと乱れまくった(笑)

そんななか、始まった会は、始めは花より団子的ではあったけれど、お腹が満たされると次第に落ち着いて、想い出にも花が咲き始めた。

嵐のような風でも、桜は全く散らず。



食べ物に関しては手ぶらで来てしまったワタシは演奏でお返しするしかない。

外で弾くのは行幸通りでのラ・フォル・ジュルネ以来だから12年ぶり。


気温は高めでも、春の陽光はやさしく、花で適度に日陰になっているから、チェロへのダメージはそれほど心配しなくていいと思った。
風埃のことは・・・ゴメンねって感じだけど。

クラリネットのOさんとヘンデルのデュオの小品で演奏開始。
あとはそれぞれがソロで桜に感謝の気持ちで演奏を捧げる。

外での演奏だから、音は反響せず、広がりっぱなしになってしまうだろうと予想していたが、どういうわけだか音響がよく、めちゃくちゃ楽器が鳴っているので驚いた。

楽譜を用意していたのは2-3曲。
譜面台を下に敷いていたブルーシートに、楽譜はクリアファイルごと譜面台にそれぞれガムテープでがっちり固定。

それでも風にあおられて倒れそうになるのを足で留めながら弾く、といった感じ。

クリアファイルに入れていても、なぜかそこから楽譜が風で抜き取られて空に舞い、それを追いかけて拾ってもらうという漫画みたいな光景も2度あった(笑)


午前中の休日勤務を終えてから、演奏を聴きたくて来たという途中参加の人や、車椅子の患者さんもちょうどその時いらしてくださっていたので、いったんケースにしまった楽器を取り出し、また弾いた。


めんどうなので、もう楽譜はいらない。
暗譜でトライメライ、花は咲く、愛の挨拶、タイスの瞑想曲、白鳥、さくらなどを弾いた。

オリビアを聴きながらを弾いてみたら、そのあとはリクエスト大会みたいになった。

知っている曲なら弾ける。
チェロにあわせて、皆も口ずさむ。

まるで「酒場の流し」(笑)

 

けれど、曲は学校の遠足やバス旅行のしおりに載っているような「文部省唱歌」や「みんなのうた」。


そこに世代を反映して、カーペンターズやビートルズ、プレスリー、森山良子や岸洋子が加わった。

純粋に、楽しかった。



チェロを弾き始めたころ、日本の歌曲集なるものを買って弾いてみようとして挫折したことがある。

いつかは聴いている人が一緒に口ずさみたくなるような演奏がしたいなあと思っていた。
そんなことが少しできるようになったのかなと思うと、嬉しい。


自宅に帰ってきて弾いてみても、やっぱり楽器の鳴りがいい。

きっと、桜の精がパワーをくれたのだ。

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