かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

BARのある人生

2011年10月07日 | 今日こんなことが
久しぶりに「BAR」と名のつく店に出かけた。

テーブルを勧められたが、やはり一流のバーテンダーがいる店なら、カウンターで飲むのがいい。


禁煙外来に今まで、バーテンダーが2人ほど治療に来てくれたが、残念ながら完全禁煙のバーは(近所には)存在しない。


女性バーテンダーが作ってくれた爽やかな味のカクテルを飲みながら、友人と楽しくおしゃべりをしていたら、私たちの隣に40代とおぼしきカップルが座った。

座るや否や、ふたりともしっかりと、そこが当たり前の置き場所のように、タバコのケースとライターをテーブルに置いた。

彼らがタバコを吸い始めたら、私たちはかなり煙くて、(わざとじゃなく)咳き込んでしまったけれど、もちろん彼らはお構いなし。


男性客のほうは、ちょうど今入院中の、同じ年頃の患者さんと面影が重なった。

バリバリに仕事をしていた人だけれど、肺がんが脊髄に浸潤していって、とうとう足が麻痺して先日入院したのだ。

抗がん剤が効果なく、放射線治療もめいっぱい、かけられるだけ照射したあとだったから、6月に行ったMRI検査で、年内には麻痺してしまうだろうことがわかったときも、本人にそのことを伝えて、痛みをモルヒネでコントロールする以外、何もできなかった。

彼も病気になるまでは、あんなふうにBARでタバコを吸いながら酒を飲むこともあっただろう。

BARは酒とタバコを共に楽しむところ・・・などと思っている人は、まだまだ多い。
けれど、その先に待っているのは、決して楽しい人生じゃないってことを、知らない人たちが多すぎる。
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