新春寄席に出かけた。
指定席なので、隣にどんな人が座るのかは、運次第。
左隣は70代と思しき二人組みのおばちゃん。
開演前、よく喋っているなあと思っていたら、演目中も、声を出してよく笑い、時には「あらやだー」とか、一言コメント付き。
挙句の果ては、前座の枕で「スマホの電源はお切りください」と念押しがされていたにもかかわらず、おばちゃんのスマホはLINEの着信音が鳴っていた。
機内モードはおろか、どうやって電源を切ったらいいのかさえわからないままスマホを使っている人は、まだ案外多いのだ。
右隣に座ったのは、中年カップル。
休憩時間には、二人とも数字パズルノートを開いてやっている。
まあ、そこは個人の趣味の問題だけれども、男性が飲み残したペットボトルのお茶を、女性が飲み干していたのでビックリ。
休憩時間には、女性がチョコボールのようなものを袋から1個つまみ出し、直接男性に手渡しているのにも、感染症に翻弄されている現代において違和感を覚えた。
この女性から漂ってきているらしいニオイが気になったが、帰る頃になって、ひょっとしたら加熱式タバコのニオイかもしれない、と思った。
演目は、
「たらちね」(柳家しろ八)
「替わり目」(三遊亭遊雀)
江戸家小猫 動物声帯模写
「妾馬」(柳家花緑)
「替わり目」は、主人公の酔いっぷりが魅せどころなのかもしれないけれど、
聴いていてなんだかとっても不快だった。
酒に酔った旦那の、女房に対する横暴な物言いのせいかもしれない。
たしかに、江戸時代に作られた古い噺なので、現代においてはふさわしくない表現があるにはある。
その点は致し方ない・・・
でも、そういうことだけではなく・・・おそらく、噺家が「地でやっている」感が強かったせい、なのかもしれない。
この人(噺家)が酔っ払ったら、実際、こんな感じなんだろうなあと想像してしまった。
そもそも、高座にあがったとき、裾を乱しながら股を開いて座ったのが気になった。
噺の途中、激しく動いて、つい着物の裾が乱れがちという流派もなかにはあるけれど、最初はきちんと座るはず。
着物のすそをきれいに整えてさっと座るところや、客の気をそらさないように羽織を肩から静かにすべらせて脱ぐ様子だったり、三つ指付いて深々とお辞儀をするといった所作には、プロの落語家ならではの美しさがあると思っている。
大酒のみが肝不全になって意識混濁・せん妄状態になった時のことまでも思い出してしまって、どうにも楽しめなかった。
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