かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

大切なもの

2005年08月08日 | がん病棟で
ファッションチェックされている。

「可愛い靴だわね」

朝、トマトジュースを買いに病院の売店に行ったら、顔なじみのレジのおばちゃんに、履いている靴を褒められた。
特別あつらえた靴ではない。
2年前に近くのデパートで買ったものだ。

「先生っていつも可愛い靴履いてるわね。どこで買うの?」

それほど目立つデザインではないのだが、よっぽど似合っていたのだろうか?
夕方、入院患者さんの回診をしていたら、女性部屋で、患者さん4人のおしゃべりの種にもされてしまった。

『特別なところで買ってるわけではないですよ。きっと私が履くから可愛いくみえるんですね

「まあ!一本やられたわね!(爆笑)」

それから病室でのおしゃべりは買い物から闘病生活、人生の楽しみについて発展していった。

「この病気(肺がん)になってから、人ごみが怖くなったわね。欲しいものだけ買って、さっさと帰るようになったわ」

「そうね。以前は少しでも安いものを求めて走り回ったり、これはどこそこの店のものでなきゃ、なんてやってたけど、今ではそんなことどうでもいいわ」

『物より大切なものがあるってことですか?』

「そうねえ・・・やっぱり健康?」

最後の言葉は私へのリップサービスも入っているかもしれないが・・・
人生の残り時間が少なくなったとき、果たして私には何が残るのだろうか?
何が最も大切に思えるようになるのだろうか?
   







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