かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

過干渉

2016年12月10日 | Angels' message

喫煙防止教室でたくさんの子どもたちを見てきたが、不思議とその子どもの家の様子とか、どんな親なのかが想像できることが多い。

今週でかけた小学校は、以前から開拓せねばと思っていた地域。

保健所の管轄によって4つの地域に分かれているうちの東側。

このあたりは、以前からタバコ農家が多く、喫煙率も他の地域に比べて高いという。

そういう事情もあってか、学校の敷地内禁煙化も遅かったし、講話の依頼もほとんどなかった。

 

授業には近隣学校の養護教諭数人も見学に来るときいていたから、未開の地の開拓の大きなチャンスと思ってのぞんだ。

 

畑や田んぼに囲まれた小学校の5年生だから、都市部よりも1歳くらいは幼いかなと予想していったが、教室に集まった30名の子どもたちは、なんだか落ち着かない空気に包まれていた。

女の子たちは授業中、みな一言も声を発することはなく、ませた感じの子ばかり。

男の子たちは、じっと座っていられなかったり、反抗的な発言をしたり、疑心暗鬼の目でこちらを見据えていたり・・・

 

けれど、そんな子どもたちより何より、最も気になったのが担任の女性教師の態度だった。

 

授業の最初から、子どもたちにしょっちゅう話しかけている。

子どもの姿勢がちょっと崩れれば、その子のところに行って姿勢を直しながら怒っている。

授業に反応して発言しているだけなのに、いちいち制してとがめる。

複数の子が同時に気になれば、養護教諭に命令して同じように注意させる。

 

今まで例のない、あまりにも目に余る行為で、彼女によって子どもたちや私の集中力がそがれ、注意された子どもだけでなく、私もイライラして爆発しそうになったので、思わず「(子どもたちは)だいじょうぶです(やめてください)。先生も後ろに座って(他の先生方と)一緒に聞いてください」と言ってしまった。

するといったんは他校からの見学者と並んで座ってくれたものの、またすぐに子どもたちのところへ。

ひとり、臓器の写真を怖がって下を向いてしまった女の子がいたのであるが、その子に対しては何度も「だいじょうぶ?」「気持ち悪いの?」などとたずねて、無理やり具合悪くさせて(そういうふうに見えた)、結局、教室の外に連れ出してしまった。

 

「過干渉」

そんな言葉が頭をよぎった。

同僚の心理療法士から教わった言葉だ。

 

なぜに、彼女はあんなにも過度に子どもたちに干渉しようとしたのだろうか?

外部講師の特別授業だから、「失礼のないように」とか?

他校の見学者がいたから?

 

ひょっとすると、このクラスの落ち着きのない雰囲気は、担任のせい?

 

授業が終わったあと、彼女からこんな言い訳をされた。

「すみませんでした。ひとり、親がタバコを吸っていて、心配になっちゃった子がいたので・・・」

 

タバコを吸っている親のことが心配でしかたがないという子どもは、どこの学校にもたくさんいるんです。

私の授業は、そういう子どもの心もケアする授業でもあるんです。

授業を邪魔して、挙句の果てに、子どもたちを勝手に教室から追い出したりしないでください。

 

今度会ったら、そう言おうと思う。

 

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