かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

日本人のレベル

2012年10月09日 | お医者さんの一言
こんな小さな国なのに、何人もノーベル賞受賞者が輩出されているし、色々な科学技術も世界トップレベルだし、日本という国、あるいは日本人というのは(どういう理由かはわからないけれど)優れているのだとは思う。

けれど、一般国民の健康保健医療の知識についていえば、他の先進国に比べて平均値は非常に低いのではないか?


「1週間くらい前から歯がぐらぐらして痛くて御飯が食べられない。点滴してほしい。歯はもう少しで抜けそうなので、歯医者には行かない」

こんなことをまじめに言ってくる人がいる。

大人の歯が抜けるのは歯槽膿漏だからだ。
抜けたからといって、痛みが減るとは思えない。
歯医者に診てもらうことが最優先だ。

しかも、「点滴」が栄養補給になると思っている人は、世の中にほんとに多い。
多すぎる。

点滴(輸液)の主な目的は水分補給。
脱水の治療や予防などの場合に行う。
決して御飯のかわりになるものではない。
食事と同じくらいのカロリーと水分を点滴しようとするなら、心臓に近い静脈にカテーテルを入れて高濃度の注射剤を点滴しなければならない(中心静脈栄養という)。


連休明けも休んでいる上司・同僚宛てのこんな問い合わせの電話が朝からどんどんこちらにまわってきて、まじめに説明していたら「点滴してくれないならもういいです。あなたにはたのみません!」と逆ギレした人がいた。


これは、今までの(日本の)医者の対応にも責任がある。

高齢者や、ただの風邪ひきの患者に、「栄養」と称してビタミン剤を注射していた医者が一昔前には当たり前のようにいた。

研修医時代のバイト先の病院にも「注射セット」というものがあって、「センセイ、いつものやってください」と患者さんに言われると、カルテに「Do」と書くように言われていた。
そうすると看護師さんが「ハイハイ、了解です」と黄色いビタミン剤の注射を患者さんにブスっとする仕組みになっていた。


何種類も飲み薬を出されても、それがどういう薬なのか、きちんと理解している患者さんも少なかった。
これは、「素人はつべこべ言わずに、出されたものを飲んでいればよいのだ!」と医者が説明を怠ってきたせいでもある。


今は色々な情報が氾濫しているけれど、それらを正しく判断できるくらいに日本人の平均レベルはまだあがっていないと感じることが多い。

サメの軟骨飲んだからって、関節痛が治るわけない。

コラーゲン飲んだり塗ったりしたって、皮下組織のコラーゲンが増えるわけない。

口蓋垂(のどちんこ)切っても、夜間睡眠時無呼吸やいびきは治らない。

ググって検索のトップに出てきたからって、効果・安全性が確かめられている最新の癌治療法であるとはいえない。


ああ、なんだかグチっぽくなってきたので、これ以上書くのは控える。












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