「8月27日(火)」
「自転車屋の生き物歳時記」
「植物編」
「クズ」
先日の沢歩きで
唐櫃台に向かう時に
秋の七草であるクズの花が咲いているのを
何ヵ所かで見かけました。
クズ(葛、学名: Pueraria montana var. lobata)は、
マメ科クズ属のつる性の多年草である。
日本では、
根を用いて食材の葛粉や漢方薬が作られ、
万葉の昔から秋の七草の一つに数えられている。
和名は、
かつて大和国(現:奈良県)吉野川(紀の川)上流の
国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。
漢字は葛を当てる(「葛」で表記する場合もある)。
中華人民共和国等の中華圏では、
鶏斉根(繁体字: 雞齊根、簡体字: 鸡齐根、
拼音: jīqígēn、雞は鷄の異体字)とも呼ばれる。
地面を這うつるは、
他のものに巻きついて10メートル以上に伸び、
全体に褐色の細かい毛が生えている。
根もとは木質化し、
地下では肥大した長芋状の塊根となり、
長さは1・5メートル、径は20センチに達する。
葉は三出複葉、小葉は草質で幅広く大きい。
葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びている。
花は8~9月の秋に咲き、
穂状花序が立ち上がり、
濃紺紫色の甘い芳香を発する花を咲かせる。
花色には変異がみられ、白いものをシロバナクズ、
淡桃色のものをトキイロクズと呼ぶ。
花後に剛毛に被われた枝豆に似ている扁平な果実を結ぶ。
つるを伸ばして広い範囲で根を下ろし、繁茂力が高い。
クズは根茎により増殖する。
かつての農村では
田畑の周辺に育つクズのつるを作業用の材料に用いたため
定期的に刈り取られていたが、
刈り取りを行わない場合は
短期間で低木林を覆い尽くすほど成長が早い。
伸び始めたばかりの樹木の枝に巻き付くと、
それによって樹木の枝が曲がってしまうこともあるため、人工林においては、
若木の生長を妨げる「有害植物」と見なす人がいる。
温帯および暖帯に分布し、
北海道から九州までの日本各地のほか、
中国からフィリピン、インドネシア、
ニューギニアに分布している。
世界の侵略的外来種ワースト100
(IUCN, 2000) 選定種の一つである。
荒れ地に多く、人手の入った薮によく繁茂する。
古来から
大きく肥大した塊根に含まれるデンプンをとり、
「葛粉」として利用されてきた。
秋から冬にかけて掘り起こしたものを
砕いて洗い、精製する。
葛粉を湯で溶かしたものを葛湯と言い、
熱を加えて溶かしたものは固まると
透明もしくは半透明になり、
葛切りや葛餅、葛菓子(干菓子)などの和菓子材料や
料理のとろみ付けに古くから用いられている。
あまりメジャーではないが、
春先から初夏にかけて伸びるつる先や花も
天ぷらなどにして食用に出来る。
根を乾燥させたものを生薬名葛根(かっこん)と呼ぶ。
日本薬局方に収録されている生薬である。
発汗作用・鎮痛作用があるとされ、
漢方方剤の葛根湯、参蘇飲、
独活葛根湯などの原料になる。
風邪や胃腸不良(下痢)の時の民間治療薬として
古くから用いられてきた。
薬用として用いる場合の採集時期は、初夏が望ましい。
花を乾燥させたものを生薬名葛花(かっか)と呼ぶ。
開花初期の頃、房になった花すべてを採取し、
風通しのよい場所で速やかに乾燥。
有効成分は、イソフラボン。
かつては飼料としても重宝されたが、
こうした用途は減った。
「ウマノオコワ」
「ウマノボタモチ」といった地方名があるが、
馬だけではなく牛、ヤギ、ウサギなど
多くの草食動物が好んで食べる。
葛の繊維で編んだ布は
新石器時代の遺跡からも出土している。
つるを煮てから発酵させ、
取りだした繊維で編んだ布は葛布と呼ばれる。
現在に伝わっている製法の葛布は
平安時代ごろから作られていたとされる。
江戸時代には『和漢三才図会』でも紹介された。
かつては衣服・壁紙などに幅広く使われた。
現在では生活雑貨や土産物として、
数少ない専門店によって
小規模ながら生産が続けられている。
遠州、現在の静岡県掛川市の特産品である。
また、クズのつるは長いことから、
切り取ったつるが乾燥して固くなる前に編むことで、
籠などの生活用品を作ることができる。
2008年には、
クズ属植物からバイオマスエタノールを抽出する技術が
宮崎大学によって開発された。
日本においては
古くから絵画や意匠の題材として扱われ、
クズ固有の小さな葉を意匠的に図案化した
家紋が数多く存在する。
皇族・高円宮家の絢子女王のお印でもある。
葛は秋の七草のひとつに数えられるとともに、
秋の季語として多くの俳句に詠われている。
落語に『葛根湯医者』がある。
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