いま安倍政権は、原発事故はなかったものとし、放射能汚染を過小評価し、「福島は安全」キャンペーンを大々的に展開しています。
「過酷事故は克服できた」と国内外に宣伝し、「帰還強制」をおこない、再び原発再稼働させようとしています。
これと一体で、各地に最終処分場をつくり、あたかも「痛み分け」のような形で、原発事故の責任を全国の人びとに押しつけようしています。最終処分場を受け入れるということは、加害者である東電の責任を免責し、原発再稼働に協力することを意味します。
また今回、国は千葉県の東電敷地に処分場をつくることで、あたかも「東電が汚染物質を引き取る」ような印象をもたせていますが、とんでもない! 国が東電の敷地を買い上げるのです。私たちの税金が東電につぎ込まれるのです。こんなデタラメが許されていいわけがありません! 全国の運動とともにストップさせていきましょう!
処分場建設を白紙撤回せよ!
以下、「高原山の自然と水と指定廃棄物最終処分場を考える 塩谷町シンポジウム」 での元政府事故調の吉岡氏の講演のレジメです。
重要な提起がされています。
高原山の自然と水と指定廃棄物最終処分場を考える
塩谷町シンポジウム
http://www.town.shioya.tochigi.jp/forms/info/info.aspx?info_id=34321
指定廃棄物最終処分場を考える塩谷町シンポジウムでの吉岡 斉氏のレジメ
(元福島原発事故調査・検証委員会(政府事故調)委員
放射性物質汚染対策特別措置法は悪法であり、汚染者を免責し、国民・住民のみに負担を押しつけるもの。
@ そうした法律の立て付けになったのは、東京電力を破産させないという方針を、政府が事故後ほどなく固めたことにある。
@ そのため福島原発事故被害の支払いの大半は、国民の税金でまかなわれることが確実となっている。原子力損害賠償・廃炉等支援機構が、費用負担の中核を担う。
@ こうして東京電力の「汚染行為」を免責すると同時に、原子力発電を推進してきた経済産業省・原子力規制委員会の「汚染行為」への連帯責任をも免責してしまった。
@ 当事者ではない環境省が主導し、指定廃棄物処分等有識者会議で方針をオーソライズし、関係各県に1箇所ずつ最終処分場を設置するよう要請し、それに答えて関係各県が有識者会議と市町村長会議を招集し、立地場所を決定して環境省に差し出す、という流れ作業。
福島事故被害の「克服」は、原発再建計画の命運を握る。それが進まない限り、「原子力過酷事故は克服できる」という、新たな安全神話は説得力をもたない。
@ そのために、事故廃棄物の処理・処分計画を、急速に進めなければならない。(事故由来廃棄物という名称は所有権が曖昧になる。)
@ 福島県外に飛び散った事故廃棄物の早期処理・処分は、政府の原発復活政策の重要な要素であり、その処分場受入れは原発復活計画への国策協力に当たる。(福島県の中間貯蔵施設も同じ。)
よく見かける屁理屈として、以下の2種類がある。
[1]放射性物質の仮置場(栃木県だけで170箇所)のフレコンバックの寿命がきており、このまま放置すれば放射能汚染が広がる。
[1への回答]そのような泥縄的処理自体が誤っていた。(東京電力がフランジ型タンクに汚染水を貯め続けたのと同じ誤り。)
[2]「福島県が最も大きな被害を受けており、これ以上、福島県に負担をかけることはできない」
[2への回答]加害者である東京電力と経済産業省が「汚染者負担」の責任を果すべき。
また政府と東京電力は、被害者である福島県民に、必要以上の苦難を与えている。それに福島県当局も協力している。
早期帰還政策を抜本的に見直すなど、県民の苦難を最大限に軽減し、「人間の復興」を目指すのが先決。福島事故被害「克服」という、福島県当局の国策協力の見返りに、事故廃棄物の大半の福島県外搬出(外部化)を約束するのは、インサイダー談合そのもの。
http://www.town.shioya.tochigi.jp/…/symposium/yoshioka-1.pdf