アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

『ロボット2.0』が来るぞっ!~君は「チッティ」を知っているか?

2019-10-12 | インド映画

台風19号が通過中の関東地方某所でブログを書いています。皆様のお住まいの所は大丈夫でしょうか。我が家はそう遠くない所を多摩川が流れており、その支流にあたる小さな川もあったりするため、川に近いすぐ隣の地区には避難指示が出ました。住んで20年になるのですが、こんなことは初めてです。さっきは地震もあり、二重にひやっとしました。これから台風が通り過ぎるまでの2時間ほど、ブログに集中して不安を抑えようと思います。

この台風なみに強力なパワーを持つインド映画『ロボット2.0』があと2週間でやって来ることは、以前こちらの記事でお伝えしたとおりです。その時は、「”チッティって誰?”とおっしゃる方は、すぐにレンタルショップに行って、インド映画『ロボット』(2010)を借りてきましょう。U-NEXTでも配信されていますので、そちらでご覧いただいてもOKです」と書いたのですが、本日、Amazonプライムでも配信されていることを発見しました。そして、これが何と完全版、上映時間177分ヴァージョンなのです。レンタルDVDは確か、当初日本で上映された139分ヴァージョンだと思うので、これは嬉しいですね。セルDVD(下写真)も139分版で、セルのブルーレイ(もう一つ下の写真)は「日本版本編(139分)+特典映像」と「完全版本編(177分)」の2枚のディスクが入っています。(レンタルではどっちか1枚?)


以下は伝聞なので間違っていたらごめんなさい、なんですが、『ロボット』が2012年5月12日に公開されるにあたって、配給会社は苦渋の決断をせざるを得ませんでした。上映を引き受けてくれる劇場から、「上映時間が177分というのは長すぎる。どうにかして150分(2時間半)以内にできないか」と言われたのです。配給会社がインドの製作会社に相談したところ、「オリジナルのタミル語版は手を入れてもらっては困るが、ヒンディー語吹き替え版ならば、そちらで短く編集してもらってもかまわない」との返事で、配給会社は最初に買ったタミル語版に加えて、さらにヒンディー語吹き替え版を購入したのでした。そして、ソング&ダンスシーン2カ所などをカットし、139分に再編集して公開したところ人気沸騰。結局は6月1日に、『ロボット(完全版)』として177分ヴァージョンが公開されたのです。

そんなご苦労があった前作なのですが、当時インド映画ファンの間では大きな話題になったのに、その後のインド映画ブームで新たなファンになった人たちの中には、「チッティって誰?」組の人も多いのだとか。というわけで、配給会社さんがやってくれました、『バーフバリ 王の凱旋』システムの実施。つまりは、前作のダイジェスト版を作ってくれたのです。まずは、こちらをどうぞ。

インド映画『ロボット』ダイジェスト映像

わかりやすく作ってありますねー。欲を言えば、サナがチッティにキスしたあとのチッティ脳内爆発シーン(何と「アリガトウゴザイマス」という声が入る)もちょい入れておいてほしかったですが、まあ4分と少しのダイジェストなので、そこまでは無理だったのかも。「アリガトウゴザイマス」を聞きたい方は、ぜひ『ロボット』を、できれば完全版で見て下さい。その完全版ですが、ブルーレイに収録されているのも、それからAmazonプライムの配信版も、なぜかヒンディー語の完全版なのです。でも、どうやら最初にタミル語の完全版用に作った字幕があてはめてあるらしく、歌の歌詞などは内容にズレが生じています。どうしてブルーレイの完全版をタミル語ヴァージョンにしなかったのか不思議ですが、今回のダイジェスト版の音声は何とタミル語版。これは嬉しい、と、何度も再生してしまいました。

©2018 Lyca Productions. All rights reserved.

そんな、日本だけに生じたややこしいエピソードも背景にある『ロボット2.0』の公開。このエピソードがインドに伝わったせいなのかどうかはわかりませんが、2010年代になるとインド映画は「インターナショナル・ヴァージョン(国際版)」と称して、インド上映版より20~30分短いヴァージョンを海外の映画祭などに出品するようになります。その例が、アーミル・カーン主演作の『チェイス!』(2013/147分)や、『バーフバリ 伝説誕生』(2015/138分)と『バーフバリ 王の凱旋』(2017/141分)の最初に日本で上映されたヴァージョンです。被害妄想的な考え方にかられたのか、一部の人が「日本でカットした!」と騒いだこともありましたが、今では監督自身が作った「国際版」だったことが認識され、『バーフバリ』はその後完全版(『伝説誕生』159分、『王の凱旋』167分)が上映される原動力となりました。

©2018 Lyca Productions. All rights reserved.

こういった紆余曲折を経た結果、今度の『ロボット2.0』はめでたく最初から完全版147分が上映されます。と書いたところで気がついたのですが、前作177分に比べると30分も短くなっていますね。シャンカル監督、今のインド映画界のトレンド「上映時間短縮化」を取り入れた、というところでしょうか。そう言えば、前作ではペルーのマチュピチュ遺跡で、はたまたブラジルのレンソイス国立公園で歌い踊ったバシーガラン博士(ラジニカーント)も、今回は全然踊りません。エンドロールに2.0(ラジニカーント)と女性ロボットニラー(エイミー・ジャクソン)のソング&ダンスシーンがあるだけで、ソング&ダンスシーンの大幅減少も昨今のトレンドであるとはいえ、少々寂しいですね。このエンドロールシーン、前作の『ロボット』テイストを引き継いでいて何度見ても面白いので、フライングでお見せしてしまいましょう。

Endhira Logathu Sundariye (Video Song) - 2.0 [Tamil] | Rajinikanth | Shankar | A.R. Rahman

大画面でご覧になると、迫力が全然違いますよ。ぜひ2週間後、劇場でご覧下さいね。『ロボット2.0』の公式サイトはこちらです。台風も通り過ぎ、風雨もおさまったので、今日はこの辺で~。



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