インドのニューデリーに来ています。日本と違って、暑い! 例年なら、3月初めと言えばまだ朝晩は寒いぐらいなのに、今年はなぜかもう気温が上昇中。確かに、ホーリー祭が終わると気温が上がってそのまま4、5月の酷暑に突入、というのがいつものパターンではありますが、3月2日にホーリー祭が終わったとはいえ、例年よりすごく早いホーリー祭なので、律儀に夏に移行しなくてもいいのに、という感じ。カーディガンやセーターを入れてきたこの荷物をどうしてくれる、です。
泊まっているのは、今回訪ねる年若い友人たちの家がある、ラージパト・ナガルの安いホテル。この地区は南側にリングロードと呼ばれる環7か環8かという幹線道路が走っていて、ホテルはリングロードに沿った引き込み道路に面しています。カロン・ホテルという名前なのですが、建物の1階にあるファブ・インディアのインテリア店の方が目立つため、探すのがちょっと大変でした。この地区だけではないと思いますが、こういう下駄履きホテルはニューデリーに多いようです。何せ土地が高いので、カロン・ホテルもフロントはファブ・インディアの脇を入った突き当たりにあり、ホテルの部屋に行くのはいったん外に出て戻り、建物の脇から入ってエレベーターに乗らないといけない、という、なかなか大変なシステムです。
部屋自体は広いし、家具もうまく配置されていて快適なのですが、いろんな説明がなくて、最初戸惑いました。冷房の入れ方、ギーザー(湯沸かし器)の存在、冷蔵庫の動かし方、テレビのつけ方など、あれこれやってみてやっとわかる、という次第です。インド人なら、自明のことなのかなあ。まあ、インド人なら、いちいちボーイさんを呼んでやらせるのだろうけど。30室ぐらいの小さなホテルなのですが、結構埋まっているようでした。
このリングロード沿いを少し歩いて散歩してみると、ハルディーラームという有名なスナック・チェーンの店も発見。このハルディーラームはショッピングモールのフードコートなどにもよく入っていて、大体100ルピー(170円)前後でいろんなスナックが食べられる、とても庶民的な店です。映画『クイーン』や『ダンガル きっと、つよくなる』を思い出して、パーニー・プーリーをオーダーしてみました。小さなボール状の揚げパンのてっぺんを破り、ジャガイモのスパイス炒めを入れて、それを青汁みたいなスパイス風味のお汁にどっぷり浸けて口に運ぶ、というものです。お皿に載った揚げパンを想像していたら、揚げパンはちゃんと袋入りで作ってあるという、こんなのが出てきました。
『ダンガル きっと、つよくなる』だと、中学生のギータとバビータがスパルタ・パパから「レスリング選手になろうと思ったら揚げ物やスパイシーなものは禁止だ。パーニー・プーリーもこれが食べ納めだぞ」と言われて、早朝の道で複雑な思いを抱きながら食べる、というシーンに出てきます。日本にも輸入したら流行る...前に、プーリーが運ぶ途中で壊れて、パーニー(水)を入れられなくなってますね、きっと。そんなことを考えながら、おしくいただきました。さくっとした揚げパンと、スパイスの効いたお汁のコンビネーションが何とも言えずおいしいです。
久しぶりのデリーでちょっとウロウロしてみたら、上のようなスローガンが目に入りました。「木を1本、必ず植えましょう」と書いてあります。モーディー首相の意を受けた活動なのでは、と思いますが、こういうスローガン社会は1970年代半ば、私が初めてインドに来た頃のインディラ-・ガーンディー政権の時代を思い出させます。窮屈な時代がまた戻ってきた感じです。
今日のアカデミー賞授賞式では、「逝ける映画人を偲んで」のコーナーでシュリデヴィとシャシ・カプールが紹介されていましたが、街を歩いていると、ある本屋さんのウィンドウにシュリデヴィのDVDがディスプレイしてありました。左上から下への流れで、『Chandni(チャーンドニー)』(1989)、『Lamhe(ひととき)』(1991)、『Sadma(ショック)』(1982)~タミル語の原題訳『三日月』として日本でも「大インド映画祭1988」で上映、『Chaalbaaz(すばしっこい人)』(1989)~『ドタバタ・ツインズ』のタイトルでテレビで放映済み、そして『Khuda Gawah(神に誓って)』(1992)です。これで『Mr.インディア』(1987)があればベスト・セレクションですね。その右の方に『Tiger Zinda Hai(タイガーは生きている)』(2017)のタイトルも見えますが、昨年12月末に公開された作品がもうソフトに! インド映画界、いろいろ問題を抱えているようです...。