昨日は近所のシネコンで、アメリカ映画『オッペンハイマー』(2023)を見て来ました。めったに欧米映画を映画館で見たりしない私がなぜ? と思われるでしょうが、実は先日、朝日カルチャーセンター名古屋教室でお話をした時に、この映画がインドでヒットしたのはなぜか? というご質問が来たからです。この講座のレジュメには、最近9年間のインドでの映画興収トップ20のリストを資料として付けておいたのですが、その2023年版には、第20位に唯一の外国映画として『オッペンハイマー』が滑り込んでいます。というわけで、ちょうど近所の109シネマズでIMAX上映があるのを見つけ、見て来たのでした。すでにご覧になった方も多いと思いますが、『オッペンハイマー』の予告編を付けておきます。
【本予告】『オッペンハイマー』3月29日(金)、全国ロードショー
3時間という長さでしたが、少しもだれることがなく、1926年から1959年までのオッペンハイマーと彼を取り巻くアメリカ国内の動きを描いた力作でした。アメリカ現代史への理解が浅かった私は、戦前の共産党や労働運動の実態をほとんど知らなかったため、こういう状況だったのか、だからこその戦後の「赤狩り」だったのか、と思い知った次第です。1959年の現時点をモノクロで、それ以外をカラーで描いてある手法も理解を助けてくれましたが、オッペンハイマー役のキリアン・マーフィーと、現時点で彼を聴聞会で完膚なきまでに叩きのめそうとする原子力委員会の委員長役ロバート・ダウニーJr.は、さすがアカデミー賞を受賞しただけのことはある演技で、圧倒されて見ていました。しかしながら、私としては両者とも嫌悪感が先に立ち、そのほかの登場人物も感情移入できないキャラばかりで、至福の映画体験とは言えなかったのがちょっと残念でした。そんな中で、この人、なんか親しみのある顔だこと、と思ったアメリカ軍将校がマット・デイモンだったとあとで気づき、しまった、と思っても後の祭り。10㎏ぐらい増量していたのではと思いますが、別人28号だったのです。
インドで少々物議を醸した、ベッドシーンの中休みにガールフレンドのジーンが、デーヴァナーガリー文字で書いてある「バガバッド・ギーター」(上の画像はWiki"Bhagavad Gita"より)を書棚から見つけ、オッペンハイマーに読みあげるよう迫るシーンも、「これか!」と確認することができましたが、ほんの一瞬でした。それにしても、昨日は平日の昼間であり、しかも『オッペンハイマー』が日本公開されてからすでに丸2ヶ月経つというのに、観客は数十人は入っていて、これはうらやましいなあ、と思いました。アカデミー賞の話題性もあるのでしょうが、宣伝が行き届き、2ヶ月もロングランできる映画がインド映画にももっと現れてほしい、と思いながら劇場を出たのですが、そういえば今回、IMAXでの予告編の中にインド映画『SALAAR/サラール』の特報が入っていて、おおお~、さすがにIMAXで見るとプラバースの迫力が100倍化するなあ、とヤニ下がったのでした。ここで予告編、ということは、IMAX上映があるってことですよね? 絶対、見ようと思います。特に、特報最後の「神になる」シーン(下のシーン)はこれだけでも衝撃的なので、本編での風圧はたまらないぐらいになることと思います。
と、『オッペンハイマー』を見てもやっぱりインド映画がいい、と思ってしまう私ですが、『PS-Ⅰ』と『PS-Ⅱ』もIMAXで見たい! インド映画って、IMAX向きだと思います。実現してほしいです~。『SALAAR/サラール』も7月5日(金)公開なので、そろそろ公式サイトも、と思ってチェックしてみたら、公開が決まった劇場の数が半端ではありません!! これはIMAX上映もありそうですね。こちらも歯ごたえ十分の作品なので、お楽しみに! 特報とちょい違う「予告編」を見つけたので、貼り付けておきます。
Salaar Japan Release Trailer | In Cinemas July 5 | Prabhas | Prashanth Neel | Hombale Films | #サラール