今年も、東京フィルメックスの関連イベントとして、「映画字幕翻訳セミナー」が開催されます。昨年のフィルメックスでも齋藤敦子さんのセミナーが行われ、面白い内容とハキハキした気っ風のいいおしゃべりで参加者を魅了しました。昨年のセミナーのレポートは、フィルメックスのサイトのこちらにあります。ご覧になって、「こんな興味深い内容ならぜひ!」と思われた方は、お早めにお申し込み下さいね。お仕事帰りにも、ちょうどいい時間帯です。
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水曜シネマ塾
「映画字幕翻訳セミナー」
日時: 10月31日(水)&11月14日(水)
19:00~20:30(18:40受付開始)
場所:marunouchi cafe SEEK 地図
参加費:1,000円(当日お支払い下さい/1ドリンク付)
定員:50名
講師:齋藤敦子(映画評論家、字幕翻訳家)
司会:樋口裕子(字幕文化研究会、翻訳家)
主催:特定非営利活動法人東京フィルメックス実行委員会
企画協力:三菱地所株式会社
企画運営:good mornings株式会社
※お申し込み方法等:marunouchi cafe SEEKのサイトで、上記日付を捜してお申し込みボタンをポチッして下さい。イベントは日付順にアップされており、このイベントは2回ありますので、それぞれの日付の場所に出ています。人気のセミナーですので、お申し込みはお早めにどうぞ~。
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字幕と言えば、TIFFの『火の道』の字幕が、ようやく終わりました。ええーっ、映画祭あさってからじゃん!と思われた方、あなたは正しい感覚の持ち主です(笑)。いつもトロい私ですが、今回は特に「アジア映画の森」の上映会やらIFFJやら、横道それの介になるイベントが目白押しで、ト~ロトロの仕事ぶりになってしまいました。先ほど字幕制作会社の担当者の方から出てきたダメ出しにお答えするメールを送り、一応私としては仕事が終わった次第です。でも、まだ差し戻しがあるかも知れない...。
今回の『火の道』は、原語台本がやって来ませんでした。英語字幕台本と映像だけで訳したのですが、口跡のあまりよくない役者さん(誰でしょうねー)のセリフはなかなか正確に聞き取れず、それもあって時間を取られてしまいました。原語台本はヒンディー語をローマナイズしてあるものがほとんどですが、これがあるとないとでは、私の場合翻訳のスピードは確実に違ってきます。
今回助かったのは、『火の道』のバックボーンとなっている同名の詩が、アルカカットさんのブログ「これでインディア」に原語で出ていたこと。そのサイトはこちら(目次の”Agneepath”をクリックして下さい)ですが、アルカカットさんの日本語訳もついており、大いに参考にさせていただきました。この詩は、オリジナル版『火の道』 (1990)に主演したアミターブ・バッチャンのお父様で、文学者ハリワンシュラーイ・バッチャンの書いたものです。いわば、「どんなにつらくてもイバラの道を行け」というような内容で、簡潔な言葉遣いながらパワフルな内容を含んだ詩です。
上の写真は、1980年1月に撮ったアミターブ・バッチャンとハリワンシュラーイ・バッチャンです。通称”バッチャン・ジー”と呼ばれたハリワンシュラーイ・バッチャンは、普段はニューデリーのグルモーハル・パークに住んでいらしたのですが、冬の間はデリーが寒いので、毎年ムンバイのアミターブ宅に滞在してらしたのでした。この後も長生きなさって、2003年1月に95歳で亡くなられました。そんなバッチャン・ジーの文学に触れることのできる『火の道』、平日昼間の上映でお出かけになりにくいかと思いますが、この機会にぜひご覧下さい。オリジナル版とはずいぶん変更されていて、それも見どころの一つです。
見たDVDが半分字幕がない代物だったのでストーリーがよくわかっていないところがあり勘違いしていたのですが、オリジナル版主演のアミターブ・バッチャンのお父様のものだったんですね。お父様は文学者だったのか…。
教えてくださって、ありがとうございました(嬉しくて鼻血が出そうに)。
ただの復讐劇ではなく、父と子、母と子、兄妹、恋人、周りの人たちが丁寧に描かれていて、とても力のある作品だと感じました。
ムンバイはお前の手の中にあるのか?
いや。足元にある。
でしたっけ?間違っていたらすみません。
かっこよすぎて身震いしました。
そしてあの詩がアミタブ・バッチャンのお父様の詩とは!
ずしっときます。
素晴らしい作品に素晴らしい字幕をつけてくださって、ありがとうございます。
cinetamaさんにたっぷりと泣かされました(笑)
きたきつねさんのブログを拝見した時、「火の道」の元詩に関して訂正を入れようかと思ったのですが、字幕でテンパってる時だったので、そのままになってしまい、この記事で....というわけですみません。
バッチャン・ジーは高名な文学者なので、1970年代の前半までは、アミターブは常に「バッチャン・ジーの息子」として紹介されていました。その後はすっかり紹介が逆転してしまいましたけど。日本語訳が出ていないので、日本では全然知られてなくて残念です。
実は、「ムンバイは~」の所も、字幕制作会社のスグレモノ担当者が直して下さって、ああなったんですよー。元は、「ムンバイはお前のものか?」「俺が踏んでる」というような訳で、わかりにくいという指摘があり、担当者から代案が出たりして最終的にああなったのでした。ですので、私の手柄では全然ないんです。そういう箇所、多いです(とほほ...)。
でも、号泣とは、監督も嬉しいでしょうね。やっほーさんの感性こそ素晴らしいです。