バンガロール、現在の呼び方はベンガルールに来ています。タイトルにした『Bangalore Days(バンガロールの日々)』は2014年のマラヤーラム語映画ヒット作で、7人の男女の恋と愛と友情とを描いています。下が予告編ですが、ドゥルカル・サルマーンはじめ、マラヤーラム語映画の若手人気スター(ちょっと若手でない人もいますけど)ショーケースといった趣の作品です。
Bangalore Days Official Trailer
日本での自主上映会でも上映されたのでご覧になった方も多いと思いますが、この作品を頭に浮かべつつ、バンガロールでは会いたい人が2人いたので、20数年ぶりにやってきました。
空港はピカピカになっていて、空港からのタクシーもプリペイド(目的地を言って前払い)ではなく、バンコクなどと同じメーター制によるエアポートタクシー。市内中心部のマハートマー・ガーンディー・ロードまでは805ルピー+高速代120ルピーと、なかなかに高価です。日本円にすると1,600円ほどで、インド感覚になっている身には応えますが、日本のタクシー以上に豪華な車で1時間弱のドライブを楽しみました。
今回泊まっているのは、juSTaというビジネスホテルというか、今風のオシャレなミニホテルの系列のjuSTa MG Road Hotelです。MGはマハートマー・ガーンディーの略。各地にこの名前の大通りがありますが、そこから一歩入った小路にあるので、とても静か。お値段も税込みで約7,000円とリーズナブル。ただ、ミニホテルの常として、スタッフがプロではない、というか、小銭に崩してもらおうと思ってもなかったり、「明日の朝には」と言われて次の朝行ってもやはりなかったり、的な小さな事件がいろいろとありました。まあそれはインドにはありがちなのでどうってことないのですが、今回はちょっと困った事件もあったので、つい「ホテル予約サイトに書き込むわよ」と脅してしまいました...。
その事件とは、シャワーのハンドルがポロッ、事件。お部屋も上のようにオシャレで、窓に紗のカーテンがない(メインのカーテンを開けると外から丸見え)、洋服ダンスが洗面所にでんと置いてある(この部屋だけ設計をミスったようで、通りすがりに隣の部屋が目に入ったら、ちゃんとベッドの足下にありました。しかし、衣類が湿気を帯びるのは絶対いやだ~)などの使い勝手の悪さ数点を除くと、なかなかいいお部屋です。ところが、着いた夜シャワーを浴びて寝ようとしたら、2つついたハンドルのうち下のハンドルがポロッと取れるではありませんか。のちになって上のハンドルを左に回せば水が出る、ということが判明するのですが、下のハンドルが取れた時点でうんざりしてしまい、洗面台大きかったのを幸いそこで洗髪して、あとはマグカップでお湯を運んで(!)シャワー室で浴びるという情けないことに。
で、次の朝フロントに行って、「チクってやる!」となったのでした。前の宿泊者は気付かなかったのでしょうか? 特に私が怪力を発揮したわけではないんですがねー。水はこれを手前に引くと出るのかな、とハンドルをひょいと引いたらポロッ、だったのです。
でも、ホテルにとっても珍事だったらしく、今日戻ってみると、デスクの上にこんなプレゼントが。中身は高級チョコ5個で、「本日はシャワー栓をのことで大変ご迷惑をお掛けしました。二度とこういうことがないように致しますので、このあとも何かございましたらすぐフロントにお電話を下さい」という丁寧なお手紙が付いていました。おお、脅しが効いたぞ~、と、悪質クレイマーになった気分(笑)。面白そうなホテルだ、泊まってみよう、と思った方は、こちらのサイトをご参照下さい。
さて、せっかくバンガロールに来たので、カンナダ語映画を見なくては、というわけで、フロントの人(ミゾラム出身だとか。フロントのスタッフはみんな北インドの人のようです)に聞いて、ゴーパーラン・モールにあるゴーパーラン・シネマへ。ここで、カンナダ語映画『…Re(もしも)』を見ました。
...Ré - Movie Trailer 1 | Sunil Kumar Desai
主演は、ラメーシュ・アラヴィンド、監督はスニール・クマール・デーサーイーです。今調べて、ラメーシュ・アラヴィンドがもう51才と知ってびっくりしたのですが、劇中では彼が演じるパップーのもとに、数世代前まで遡る祖先が5人登場する、という設定になっています。そのうちの1人、祖父役がアナント・ナーグで、かつて彼の主演作『芽ばえ』(1974)をインド映画祭で上映した身としては、上品でチャーミング、かつエネルギーに溢れたおじいちゃん役に感慨深いものがありました。やはり英語字幕がないとストーリーはよくわからなかったものの、祖先たちの声はすれども姿は見えず状態をうまくCGを使って表現していたり、後半では若いコンピューター・エンジニアの幽霊が登場して笑わせたりと、SFものとしても面白く作ってありました。監督もベテランだそうで、古き良きカンナダ語映画を作ろうとしたとのこと。タミル語映画やテルグ語映画に比べるとトロい感じは否めませんが、地元の人に愛されそうな作品でした。
ゴーパーラン・シネマでは、いろんなポスターの中にシャー・ルク・カーン主演作『Fan(ファン)』のポスターも。チェンナイの映画館にもありましたが、シャー・ルクが自分自身と熱狂的なファンの二役を演じる、というので話題になっている作品です。すでに予告編がリリースされているのですが、ファン役の方のシャー・ルクはCG処理なんでしょうか、別人のようで、1990年代の作品を思い出させます。4月15日公開だそうで、見てみたいですね。
FAN - Official Trailer | Shah Rukh Khan
何だか『Darr(恐怖)』(1993)を思い出させるような、ストーカーチックな作品ですが、うう、もう1ヶ月早く公開してくれてたらなあ。監督はマニーシュ・シャルマーで、アヌシュカー・シャルマーとランヴィール・シンの『Ladies vs. Ricky Bahl(女性たち対リッキー・バフル)』(2011)などを監督した人です。ちょっと期待できるかも。
その後は、例によって高架鉄ちゃん魂を発揮し、MGロード駅からメトロに。パープルラインはまだ6駅しか開通していなくて、走行時間は12,3分でしたが、沿線風景を楽しんできました。料金は17ルピー(約30円)です。以前デリーで「メトロからは撮影禁止」と言われたので今回も1、2枚しか撮らなかったのに、終点から折り返した電車の中では、地方からやってきたらしきおじさんがずっと動画を撮っていました。各駅に数名ずついるセキュリティの兵士も、見ても何も言わず。撮ってもいいのかな、バンガロールは。
夜は、お目に掛かりたかったカーヴェリ川長治さんとケーララ料理店Ente Keralamへ。バンガロールとチェンナイにお店があるようで、HPはこちらです。珍しいお料理を食べながら、いろいろお話がうかがえてありがたかったですが、カーヴェリ川長治さんのブログは、南インド映画情報の宝庫なので、ぜひ覗いてみて下さいね。下の写真はケーララ料理なのですが、何とフィッシュ・ビリヤーニーがあって、とってもおいしかったです。手前のそうめんのかたまりのようなのは、確かイディヤッパムとかいうお米のヌードルで、右の方のはエビカレーです。
では、最後に、シャー・ルクのもう1本の新作『Raees(ボス)』の予告編も付けておきましょう。こちらは、イスラーム教の断食明け大祭イード(7月5日の予定)の公開が予定されています。ナワーズッディーン・シッディーキーとの共演作とのことですが、昨年のサルマーン・カーンの『Bajrangi Bhaaijaan(バジュランギー兄貴)』のお株を奪い、今年のイードはシャー・ルクが制することができるでしょうか? 楽しみですね。
Raees Teaser | Shah Rukh Khan I Nawazuddin Siddiqui I Mahira Khan | EID 2016