このたび「JAIHO」で配信されるインド映画『'96』のことを、友人でインド映画業界にとても詳しいDさんに話したら、「こんな写真があるわよ~」とご自分で撮った写真が送られてきました。開けてビックリ玉手箱、ものすごいお宝画像が下の写真です。
Photo by K. DAN
これは、『'96』の監督C.プレームクマールが、2019年にGollapudi Srinivas Award(ゴーラプディ・スリーニワース賞)を受賞した時のもので、この賞はゴーラプディ・スリーニワース記念財団が、毎年優秀な新人監督に対して授与するものです。このゴーラプディ・スリーニワースという人は、テルグ語映画の監督デビュー作を撮っていた最中に水難事故で亡くなりました。まだ26歳で、テルグ語映画のベテラン俳優兼脚本家であるゴーラプディ・マールティ・ラーオの末息子だったため、その後財団が作られ、1998年からその年の最も注目すべき新人監督を選んで賞を与えるようになったそうです。南インドだけでなく、北インドの新人監督も選ばれていて、2008年にはアーミル・カーンが受賞しています。受賞者リストはこちらをご覧下さい。上の写真は、プレームクマール監督に賞を授与するマニラトナム監督(『ボンベイ』、『ディル・セ 心から』等多くの作品を撮っていて、みんなから「マニSir」と呼ばれ尊敬されている大監督)なんですが、実は周囲にいる人たちもみんなベテラン監督なのです。この後に『'96』の主演俳優ヴィジャイ・セードゥパティが駆けつけてきたようで、みんなが勢揃いした写真があります。それぞれの名前と簡単な紹介を付けておきましょう。
Photo by K. Dan
左端の女性はマニSirの夫人スハーシニ。1980・90年代を中心にトップ女優として活躍し、その後監督業にも進出して、日本でも公開された『インディラ』(1995)等を撮っています。その次はヴェトリマーラン監督で、ダヌシュ主演の『Vada Chennai(北チェンナイ)』(2018)や『Asuran(阿修羅)』(2019)など、話題作をかっ飛ばしている人気監督です。その次の赤シャツはヴィジャイ・セードゥパティ、トロフィーを持つのはプレームクマール監督、その右はマニSirで、最後がまた大物のバーラー監督です。バーラー監督は、初監督作品であるヴィクラム主演の『Sethu(セードゥ)』(1999)で一挙に注目され、撮る作品は非常に特異なテーマでありながら、多くの賞を受賞し、かつヒットもさせるという監督です。私の大好きな作品『Pithamagan(偉大なる父)』(2003)や、異様な迫力に満ちた『Naan Kadavul(我は神なり)』(2009)を撮っていますし、最近のジョーティカとG.V.プラカーシュ・クマールが主演した『Naachiyaar(ナーチヤール)』(2018)もとても良かったです...と、『'96』そっちのけで語ってしまうぐらい、すごい監督陣がプレームクマール監督の受賞を祝福したのでした。
ヴィジャイ・セードゥパティのファンの方(私も大ファン。いつだったか、チェンナイで彼の映画を見た時は、高校生の女の子たちがオープニング・クレジットで彼の名前が出て来た時に拍手パチパチしていてびっくり。男の人のファンが多いので、指笛もうるさいです)のために、彼の写真を続けて付けておきます。
Photo by K. Dan(All)
Dさん、本当にありがとうございました! しかしヴィジャイ・セードゥパティ、自分が受賞したのでもないのに監督のために駆けつけるなんて、いいとこありますねー。「JAIHO」で『'96』をご覧になる方は、ぜひこの授賞式のことを思い出して下さいね。最後に、『'96』のインド版予告編を付けておきます。
96 Trailer | Vijay Sethupathi, Trisha | Madras Enterprises | C.Prem Kumar | Govind Vasantha