やっぱり気温が一気に下がってしまい、今夜は寒いぐらいですねー。風邪を引きかけていて、ちょっと危うい私の喉です。なのに、性懲りもなく、本日も滑り込みセーフのシンデレラ状態で帰宅しました。
本日は、アジアに生きる女の決断2本立て。<アジアの風>部門のインドネシア映画『カリファーの決断』と、コンペ部門の『トリシュナ』です。
『カリファーの決断』 (Khalifah) 予告編
2011年/インドネシア/90分
監督:ヌルマン・ハキム
主演:マーシャ・ティモシー、インドラ・ヘルランバン
インドネシアはイスラーム教国ですが、その戒律の守り方は人それぞれ。女性の服装にしても、スカーフを被っている人、いない人、インドなどではブルカーと呼ばれる全身を覆う黒いガウンを着ている人など、様々です。この映画では、結婚前はスカーフも被らなかった女性が、結婚後は夫の言いつけを守ってスカーフを被り、次にはブルカーを着用していく姿を描いています。
ところが、ブルカーを着用している女性は、時にはイスラーム教原理主義者=テロリストと誤解されてしまうことがあるようなのです。この映画では、ブルカーを着ていた主人公カリファーが、テロの被害を被った人から激しくなじられる場面があり、なるほどインドネシア型イスラーム社会ではそう受け取られてしまうのか、と驚きました。それも含めて、日常に存在するイスラーム教的側面が丁寧に描いてあります。
カリファー役のマーシャ・ティモシーはコ・ソヨン似の美しい人で、上のポスターでもわかるように目だけ出していても魅力的です。左の男性はカリファーの夫、右の男性は向かいの家に越してきた仕立て屋の青年です。余談ながら、インドネシアではマレーシアで売っているような仕立て済みスカーフというか、スポッと頭を入れれば顔だけが出る形になるかぶり物は存在しないのでしょうか? いちいちスカーフを結んでいるカリファーが、見ていてもどかしかったです。
『トリシュナ』 (Trishna) 予告編
2011年/イギリス/117分
監督:マイケル・ウィンターボトム
主演:フリーダ・ピント、リズ・アーメッド、ミーター・ワシシュト、ローシャン・セート
トマス・ハーディーの「テス」をインドに移し替え、『スラムドッグ$ミリオネア』 (2008)のフリーダ・ピント主演で描く意欲作であることと、マイケル・ウィンターボトム監督の知名度からか、広い会場はほぼ満員。「テス」はインドの話に上手に移し換えてあったのですが、それだけに、主人公たちがまったく魅力的でないのが気になりました。美しいインドの風景に描かれた、書き割りの絵、と言うと言い過ぎでしょうか。最後のトリシュナの決断も、ちょっと取って付けた感が....。
この映画、インド映画関係者も結構出演していて、トリシュナの母親役にミーター・ワシシュト(『ディル・セ 心から』などにも出ていた、芸術映画系の女優)、トリシュナの恋人ジェイの父親役はローシャン・セート(『ガンジー』のジャワーハルラール・ネルー役)、それから、ジェイが映画製作に投資する、という設定で、映画監督アヌラーグ・カシャプが本人として出演していたほか、女優のカールキー・コシュリンも出演。『デーヴD』組ですね。そう言えば、オープニング・タイトルの協力のところに、「アヌラーグ・カシャプ・プロダクション」という名前が出ていました。
あ、そうそうチクリ箱に1つ投入。字幕で、「アルジュン」が「オジュン」になっていました。「Arjun」の「Ar」を「オー」と読んでしまったんですねー。
この2本のほか、<2011東京・中国映画週間>でアニメ映画を見てきました。
『少年岳飛』(少年岳飛伝奇)
2011年/中国/80分
監督:蔡明欽
声の出演:胡歌、周顯欣、童自栄
時々美しい画面はあるものの、ごくごくフツーのアニメ映画でした。映画祭に持ってくるのなら、もう少し個性的な作品をお願いしたいです~。観客は約10名。同じくアニメ映画、『兔の武勇伝』や『魁拔(クイーバ)』はもっと入ったのかしら...。
【本日の拾い物】
拾い物、と言うよりは頂き物なんですが、<2011東京・中国映画週間>のカタログです。
例年だと入場者に無料で手渡してくれるカタログがなかったので、「今年はカタログをお作りにならなかったのですか?」と係の人に聞いたら、「ちょっとお待ち下さい」と売店カウンターの裏からちゃんと出てきました。結構な厚みがあり、上映された全作品の解説が載っています。明日1日で<2011東京・中国映画週間>は終わりですが、ほしい方は頼んでみて下さいね。
その他、TIFFCOMやら映画祭のラウンジやらでゲットした物がいろいろあるのですが、それはまた明日にでも。私のTIFFは、あと2日です。風邪よ、本格化するなよ~。