秋は映画祭シーズン。インド映画もあちこちの映画祭で上映されます。9月12日(金)~21日(日)に開催されるアジアフォーカス・福岡国際映画祭(公式サイト)では、インド映画『シッダルタ』(リチー・メーヘター監督)が上映されますが、同じ時期、9月12日(金)~15日(月・休)に開催されるなら国際映画祭(公式サイト)でも、2本のインド映画が上映されます。間際になってのお知らせで申し訳ありませんが、関西の方はぜひおいでになってみて下さい。上映されるのは次の2本です。
<NARAtive コンペティション部門>
『Liar's Dice/ライアーズ・ダイス』 予告編
インド/2013年/103分
監督:ギートゥ・モーハンダース
主演:ギーターンジャリー・ターパー、ナワーズッディーン・シッディーキー
〔以下は映画祭のサイトより〕
「中国とインドの国境付近の小さな街、チットクール(Chitkul)。カマラ(Kamala)は3歳になる娘を連れ、行方不明の夫を探す旅に出る。旅の時間軸に沿いながら語られるこの物語は、現代インド社会を辛辣に浮き彫りにしていく。」
※ナワーズッディーン・シッディーキーの出演作なので、今夏シンガポールでDVDが出ていないかと捜したのですが見つからず。奈良に行きた~い! 監督のギートゥ・モーハンダースは、マラヤーラム語映画を中心に活躍する女優でもあります。サンダンス国際映画祭での、監督と主演2人に対するインタビュー映像はこちら。
<特別招待作品部門>
インド/2013年/108分
監督:ジェーン・K・チェリアン
主演:シュリークマール、サリタ・スニール
〔以下は映画祭のサイトより〕
「インドの西ガーツに“ダリット”と呼ばれ、ヒンドゥー社会において最も差別され、住む場所すら定まらないカースト集団が存在する。彼らはカーストの弾圧を逃れるために仏教を信仰している。政治家・思想家として知られるアンベードカルが影響を与えた、あたらしい政治運動。この作品は、ダリッドと言われる彼ら不可触たちの解放運動を探る。」
※上記の紹介文ですが、ちょっと記述(翻訳?)に不正確な部分があります。「ダリット」、正しく書くと「ダリト(dalit)」は「抑圧された者」という意味の言葉で、以前は「不可触民、untouchable、アチュート」等差別用語で呼ばれていた人々自身が、抗議の意味を込めて自分たちのことを呼び始めた言葉です。マハートマー・ガーンディーが「ハリジャン(神の子)」と呼んだり、政府が「指定カースト」という名称を作ったりするのに対する抵抗の言葉でもあり、今では「ダリト」が定着しつつありますが、上記のようにインドの一部に住む人たちに対する呼称ではなく、インド全体の被差別カーストに対する呼び方です。また、上記の記述の中にある「不可触」は差別用語に当たるので、「賤」の字は削除し、「不可触民」とカッコに入れていただければと思います。
あともう一つ文句を言わせていただければ、監督の名前「Jayan K. Cherian」の「Jayan」は「ジェーン」ではなく、「ジャヤン」が正しいです....。なお、「Papilio Buddha」とは、美しいチョウの名前でもあるようです。
このほか、次のアジア映画も<NARAtive コンペティション部門>で上映されます。
『Men Who Saved the World(世界を救った男たち)』 予告編
マレーシア、オランダ、ドイツ、フランス/2014年/ 93分
監督:リュウ・センタック
主演:ワン・ハニフ・スー、ハルン・サリク・バチク、アズマン・ハサン
※アジアフォーカス・福岡国際映画祭や東京国際映画祭で上映された『ポケットの花』(2007)のリュウ・センタック(劉成達)監督作品。
『騒音の騒音(The Noise of the Noises)』
韓国/2014年/ 74分
監督:植田二郎
『The Night(夜)』
中国/2014年/
監督:ジョウ・ハオ
主演:ジョウ・ハオ
※香港国際映画祭で上映された時、このブログでもご紹介した、ジョウ・ハオ(周豪)監督・主演作品です。
『40 Days of Silence(沈黙の誓い)』
ウズベキスタン、タジキスタン、オランダドイツ、フランス/2014年/86分
監督:サオダート・イスマイロヴァ
奈良と言えば私などは近鉄特急が思い出されますが、会場は駅からすぐの所が多いようです。奈良観光を兼ねて、関西圏以外の皆様も連休中にぜひ。余談ながら、なら国際映画祭では「尾花座復活上映会」というプログラムもありまして、実はこの奈良の尾花座、インド映画『マダム・イン・ニューヨーク』と深~い関係があるのです。その謎は....こちらでどうぞ!