アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

『RRR』とアメリカ

2023-01-12 | インド映画

もう昨日になってしまいましたが、ゴールデン・グローブ賞の発表があるという日、私は韓国映画『別れる決心』の試写を見せてもらっていました。パク・チャヌク監督作品で、昨年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞した作品、という期待もあったのですが、ゴールデン・グローブ賞、それから多分アカデミー賞でも、外国語の映画に与えられる賞(ゴールデン・グローブ賞では非英語作品賞)において、インド映画『RRR』と覇を競う作品、という意味でも興味があったのです。結果的にはゴールデン・グローブ賞の非英語作品賞はどちらにも行かず、アルゼンチン映画の『アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~』が受賞したのですが、『別れる決心』『RRR』とはテーマや手法はもちろんのこと、まったく異なる世界で輝く作品という感じで、映画賞の難しさと面白さを感じました。『別れる決心』は後日また詳しくご紹介することにして、『RRR』に関しては最近面白い体験をしたので、それをちょっと書いておこうと思います。

『RRR』は「Naatu Naatu」でゴールデン・グローブ賞の最優秀主題歌賞を受賞したことは、もうご存じだと思います。作曲のM.M.キーラワーニが壇上に上がってトロフィーを受け取ったのですが、彼はこの曲に関わった人すべて――奥さんから始まって、この曲を見事に踊ってくれたNTR Jr.とラーム・チャランやアレンジャーにに至るまで、感謝を捧げてスピーチを終えました。下の映像がその時のものです。

Golden Globes 2023: M. M. Keeravani Emotional Speech winning award for RRR Natu Natu Song | T News

ゴールデン・グローブ賞の授賞式は全米に放送されたのですが、こういう作曲賞などでも「ああ、あの映画のあの曲ね」とわからないとテレビを見ている方はつまらないわけで、それゆえに、公開後S.S.ラージャマウリ監督がせっせと渡米して映画公開&上映の後押しをしていたわけですね。その効果のほどを、実は先日、とても身近なところで確認したのです。

©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

こちらの話も話せば長いことながら、のエピソードなので細部は省略しますが、私が50年前に家庭教師で教えた女性がアメリカで結婚し、日本に一時帰国していたので、何と50年ぶりに再会した時のお話です。彼女はアメリカで昨年このブログを見つけてくれて、ブログコメントを通じて連絡を取ってくれたのですが、最初は「ええーっ!」と思いました。東京外大の大学院生時代に彼女の従姉さんに教えたのをきっかけに、ご両親同士が兄弟&姉妹という関係もあって仲のよかったご両家のお子さん達を何人か教えたのですが、何せ25歳前後のへなちょこ家庭教師だったので、不十分なことしかできていなかったと思います。ところが彼女はそれから英語が好きになり、ついにはアメリカに行って大学に入学、今のご主人と出会って結婚して男女2人のお子さんにも恵まれた、という、信じられないような家庭教師冥利に尽きる話を聞かせてくれたのでした。

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今回は、ご主人と息子さんと共に一時帰国していたのですが、あの小柄な女の子がこんな素敵な大人の女性になって、と、本当にウルウルしてしまいました。ご主人も、中東やアジア地域で様々な社会活動のアドバイザーというかコーディネーターというか、そういう関係の仕事をしている人で、息子さんともどもいい人オーラが満載。で、いろんなお話をしている時に、「インド映画なら、この前『RRR』を見たよ」という話になったのです。ご主人と息子さんの2人で見たようで、2人ともアクションシーンがすごい、とか、車から動物たちが飛び出してきて、とかとか、映画をとっても楽しんだお話をいろいろしてくれました。そこでしみじみ、一般のアメリカの人たちがこんな風に映画を楽しんでくれないと、ゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞の候補にはなれないんだなあ、と思った次第です。ちょうど『RRR』のチラシを持っていたのでおみやげに1枚差し上げて、「この映画のパンフにエッセイを書いたのよ」と自慢し(笑)、私が作って持って行ったインド料理でカレーパーティーをしてきたのでした。

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インド映画は世界をつなぐ、というのは本当です。今年も、世界をつないでくれるような、優れた作品が見られることを心から祈っています。

 


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