ニューコスモセンター

青森でコスモスというバンドで歌ったり詩書いてる人の痛々しい日々の挙動

女を愛撫している

2013-10-23 23:09:22 | 

女を愛撫している

蟹やらエビやらが生きているのなど
気持ちが悪いと女の言葉
積雪はもう頭を超えて口角上げる匂いも消えた
その先にある寂れた競輪場の長靴は濡れ
プラスチックの床がツルツルと人間を反響する

ミミズクの肉の張りが夜中にもあるのなど
心地が悪いのと女の言葉
木壁にちぶさを擦りツララの裏側、野外灯の明滅
その先にある10年前に襲われ落とした硬貨
吐き出す息が在りし日の綿雲ならば生きている

スーパーマーケットと住処の周辺は
ガラクタで散らかっていて無関心に目を振る
台所用品売り場で執拗にたたずむ
重い冷汗で大げさに舌打つ
女を待つがもともと呼びつけていない

殻を脱ぐことができるならば
犬が死んでいた時にそうした
人でなしだから
缶コーヒーで温もりを買わない

コオロギが草に触れ妻と震える振動など
良いようにしないと女の声
開かれた鉄の門が皮膚に触れ冷たい肌色が溶け 薄い黄緑色の残照
その先にある一本道の回廊をやかましい靴音の残響
東の空が白んで来、日常が白く消失する

滑らかだ すべる車輪 ショッピングセンター
自傷と骨の檻 空を踏みつけた波紋 挙動不審に無欲と叫ぶ
頭のおかしい人間を笑顔で頭がおかしいと言い
ぎりぎり気づかれる按配で出刃包丁を研ぐ

また人殺しが歌を歌う
うつむいて逃げる
その先には何もない


光に触れ
気のふれた消失が
優しく女を愛撫している