5月14日、夜の朗読会で朗読した詩
「全滅判定クルック」
ひずむ日々
揺れる車内には人のにおいが回り呼気を乱していた。
人間が2人、話をしている。
女と口づけをした。黄身が甘く濡れた。眩しく素晴らしい幹線道路沿いの田舎町。どんな事柄にも何の大した道程など表れはしなかった。
俺は鳩料理というものを食べたことがないのだが、この世にそれはそれなりに存在しているのであるらしい。
俺が平和公園の鳩の一羽になったとして、青森で鳩料理を提供する店屋の主人が、どうしても数が足りず、平和公園で捕まった食われる鳩。俺は鳩だから、意識はそう深い箇所に根ざしてはいない。いやむしろ、浅ければ浅いほど、この世界の心理の表層の一部を担っているのかも知れぬ。
俺はその主人の店へと連れて行かれる中古車の内部で、いつもと違う環境下に置かれていることを感じ取る。
日差しが、滑らかに車内を熱しそのさらに箱内部、俺の羽肉を温める。それは偽善的な化学兵器のように、肉の温度を上げる。電信柱や雑木林が光源の明滅を、走行する中古車に当てる、目が泳ぎ、俺はペニスを突き立て、メスの鳩を探してばかりいた。
しかしその行為に大した意味も哲学もなかった。
車輪は止まり、部屋へ連行される私は、遮断された部屋で捕獲されている。誰かがやってくる。それは俺を捕獲した主人だ。主人は中年の太った男であるのだが、ラメのビチビチに締め付けられた女性用水着を着用している。肌色が幼稚にはみ出し、胸の垂れた肉が揺れている。主人は独り言のような奇声を発する。
「アハアハアハアハアハアハアハハアハ!」
と真面目な瞳で近づいてくる。彼は名前を呟くが鳩だから意味がわからない。
俺は肛門に巨大な穴を空けられる。おじさんは勃起したペニスを突き立てる。しばらく前後にゆすられ、私の俺の僕の毛細血管と薄明るい精神性が擦り切れる。私は何度も「クルックドゥウ!クルックドゥウ!クルックドゥウ!」と鳴く。
おじさんはすぐに逝き、俺の摩耗した内部の肉がぬるい液体で強く湿った。
おじさんは舌打ちをし、「コレジャないか」と言って蛇口を回した。私の湿った穴はカルキ臭であふれた。呼吸がままならず、すべてが灰色に点滅した。体温の調節をしようと考え、太陽に意識をやったが野外は見えなかった。窓が無かった。2秒して死ぬのではないかなと思った。 ああ、私の首は何のためらいもなく落ちた。
おじさんに子どもはいない。正確にはいたのだが死んだのだ。彼の子どもは3歳の時に、汲み取り式便所で糞尿を排泄していた時に過って落ちてしまった。おじさんの子は糞尿にまみれて窒息死したのである。
おじさんと妻の間には、しばらく悲しい時間が流れた。それから何年か売れない小汚い飲食店を営み続けていたのだが、ある日突然思い立つ。
おじさんと妻は、悲しいわが子の事故死を、もう二度と繰り返さないために、汲み取り式便所を失くす会「ノーボットンの会(NBK)」を結成し、インターネットのホームページや、全国の小学校や老人ホームを回り講演を行うのである。
彼は我が子が死ぬ前までは、なんにでも後ろ向きな気の弱い男であり、学歴も無く、趣味は自慰とパチンコという人生のある一定水準からすれば、敗北者側であり、彼自身もそれを自覚していたのであるが、我が子が糞まみれになったことによって、少しずつ変わっていったのだ。
子どもが死んだという事実は彼を変えるためには十分過ぎる理由であったのだろう。
そして彼は思っていた。子どもが死ねば、みんなが同情してくれる。みんなが話を聞いてくれる。みんながノーボットンの会に金をほぼ募金してくれる。糞まみれの子ども万歳!と思った。私が子の死を掲げるという、少し弱い効力の肛門様の印籠を手にしたのだ。と。
人はさまざまな瞬間、変わるときがある。それは1本の映画であったり、どこか遠い旅路の果てであったり、死ぬほど追いつめらた瞬間であったりするのだが、彼の場合は子が糞まみれで死んだことであったのだ。
一度、ノーボットンの会のメンバー数人と、山へハイキングへ行った時のことであった。
山林に建つトイレが汲み取り式であった。
彼は、それを見て本当は会員の若い女にいかに自分が悲しんでいるか、その私の内部をどれくらいの濃度で調節して話せば、若い女が私にどこまでの何を許すのかなどを考えていたのであったが、少ししょうがなそうに、そもそもこの汲み取り式便所に憤怒した態度を取らなくては、若い女が集まらなくなるような事になってしまうではないか。この会に人が集まらなくなることだけは避けなければならないのだ。と思っていた。
そこで彼は悲しみと怒りの声を絞り出すのだ。「責任者はいったい誰なんだ!山林のトイレが汲み取り式だなんて。ふざけでる!真夜中のカップルの片割れが、もし用を足したら、脚を踏み外して暗闇の淵の死人になっちゃうじゃないか。ふざけるな。こんなことは許してはいけないのだ。責任者は誰だ。夜のことを考えていない責任者はいったい誰だ!」
10メートルほど奥まった先にある掘立小屋に山林管理事務所があり、ドアが開く。屈強で浅黒い男が、彼の前に立つ。
彼は面倒くささと、知らない人、対人感で軽くパニックを起こすが、その気持ちの矛先を怒りに無理やり変えて浅黒い男に掴み掛った。その方が周りの会員がすぐに止めに入って、この騒動はすぐに終わると思ったのだ。
「お前はー死ねー!」
と行き過ぎた感情で早く誰か止めに入れという思いで
恫喝するが、他の会員はあぐねていた。
浅黒い男は頭のおかしい男が何か言っている。と困惑していた。
ボットンの会会長は恐怖を思い出す。ああ知らない、きっと私より人間的にも良い人間だろう人間が私を不快に思い、多分ある一定の線を越えてきたら、殴る腹積もりでいるのだろう。そうしたら、あの若い女は私の怖がっている表情や怖がっているのをばれないように強がっている表情なども完全に見抜き、セックスをしたいと思う何ミリかの気持ちが限りなくゼロに近づいてしまうだろう。何かをどうにかしなけりゃならない。ついでに他の会員もみている、彼ら彼女らの何人かが抜けてしまうと会費が少なくなってしまう。そうしたらスカパーのチャンネル登録の数を減らさないとダメになってしまうのがすごく嫌だ。本当に何とかし なければならない。
仕切りなおしだボットンの会会長は、浅黒い男に穏やかな口調で話した。
「君は結婚しているのかい。子どもは?」
浅黒は何か言おうとしたが、会長は遮った。
「私の子どもはね。3歳で死にましたよ。窒息死ですよ。それはもうかわいい子でした。男とか女とか、まあ良いでしょう。そんな事。一緒に雛祭りをしたり、嫌、そんな特別なイベントとかは関係ないんですよ。それよりも普通に過ごす、何でもないただの1日1日の素晴らしさを今も思い出しますよ。すばらしい日々だった。しんだんですよ!うちの子どもはね。一緒に、ごはん食べたり、ケンカして子ども叱った時に、脅すつもりでアイスピック持ち出して刺すフリしたら本当に眼に刺してしまい、あわてて医者に連れて行った時とか、転んだって医者に言え!!って命令したら、ちゃんとそう話してくれたりしてねえ。本当にかわいい子どもでした。それが無。
ぜーんぶ無。ナッシングになっちゃったんですよねえ・・・。私の子どもは汲み取り式の便所に落ちて死んだんですよ!ああ4!?
。私の子どもは汲み取り式の便所に落ちて死んだんですよ!。私の子どもは汲み取り式の便所に落ちて死んだんですよ!。私の子どもは汲み取り式の便所に落ちて死んだんですよ!その気持ちが親でも無いあなたにわかりますか?!」
浅黒いは、結婚して子供がいると言った。
がすぐに
「私の親じゃないダロ!!あんたは!私の死んだ子供の親は私なんだよ!!ああコラ!私達はね!そんな子どもを二度と出したくないと思って、このノーボットンの会を結成したんですよ。会長は私で。今、会員は6名ですよ!この前まで先月の頭までは7名だったんですがすがね。」
彼は声を潜めで言った。
「会員集めのために、こういった何もない山なんかに来て、親睦を深めたりしているんですよ。」
彼は、思いの他、相手が黙って話を聞くので、だんだん気持ちが晴れやかになってきた。
他の会員が近くで聞いているので自分に都合よいような話をしようと薄く考えた が、すぐに忘れた。
クルックドゥー!
「私は会員を集めるために食事会を開こうとしたんですよ。その時にね。私の子どもはええまあ、処女のまま死んだから「レモンの会」と名づけた食事会をね。開催する計画があったんですよ。会員の室不二さん。50代の女の方なんですけどね。彼女に話をしたんですよ。彼女を上半身だけ裸にするんですよ。食べ放題の焼肉屋さんなんかで。そして彼女には娘がいるのです、こっそり娘さんを呼ぶんですよ。
そして、ステージの後ろから上半身裸の娘が現れるんですよ。お母さんの方は、娘さんが背後から現れた際に驚いてもらうんですよ。スター物まね王座決定戦とかで、後ろから本人登場でびっくりって挙動するものまね芸人の奴らいるでしょう。そんな感じでね。
でもサプライズといっても室不二お母さんの方には前もって話しておきますよ。そうしないと誘拐になっちゃって警察に何か聞かれたりするんでしょ。
そのステージ上、そこで室不二親子は私たち会員に囲まれて囃し立てられるのですよ。
それで彼女たちの乳首が擦れあって、何かが鼻腔の奥でパチンと鳴っちゃったりしてね。快楽的な事とまでは言いませんがね。そして私が登場。笑顔と颯爽と軽快な雰囲気で、フフ、右手に三個!左手に三個!の切れ目の入った黄色いレモンの固まり。彼女たちの体に、上半身のみに、レモン汁を絞りかけるわけですよ。それを舐めることなんてしませんよ。
そこで音楽が流れてくるのですよ。
娘の好きだった曲、はやてのようにザブングルの曲がねえ!私はモーニングを脱ぐと、上半身裸で緑色に着色していますよ。焼肉焼いてる客らは好奇の目で見てますわな。そして会員の皆さん全員でサビの部分を替え歌で大合唱するのですよ。」
浅黒い男はもういなかった。彼はそのことにに気づいていたが、最後まで話したくて気にせず自分の内部で話し続けた。10メートル先、木々の一つの幹に、藁人形らしきものが見えたのだが、全くどうでもよかった。
「他の会員皆裸です。肌の色は青で着色してあります。歌詞は、娘は飲むよーレモン汁、誰よりもー!ってね。それで戸惑う娘の表情をとにかく見ることがある意味、我が娘への供養と私たちノーボットンの会の哲学の一面を表すには最適だと考えたわけなんですよ。それを何とかね実現しようと室不二さんの娘さんをぜひ説得させるために、今夜わたし側の家、近所の公園まで娘さんを一人でよこしなさい。一応裸のチェックなんて事はもちろんしないので、まあできるならば、体にぴったりと張り付く服を着てきなさいな。まあ軽い気持ちで遊びの延長だと思って来なさいな。もし嫌がったら、ノーボットンの会の会費の支払い持ってっ てとかテキトウに言って12000円持たせて公園まで来させなさいや。」
クルックドゥー!
それ以来室不二さんはもう来なくなった。
その話を聞いていた会員の一人、親の借金の連帯保証人になり、催促の手紙や電話が来るたびに胸の骨が痛みだす今正明40歳は、本当に残念でしたねえ。室不二さんは偽善者ですよねえ。と言い、完全に娘の体を、好きなように会員たちで触れるチャンスを失くしたことだけ後悔していた。
クルックドゥー!
彼の冴えない喫茶店にて開催された、
ノーボットン食事会にて俺は首だけになり
皿の上に盛られた。
みんなで談笑している時に俺は、鳴いてみようかと思った。
もちろん死んでいるわけだし、
俺は鳩だからそんな事考えられないんだけど
そうしたかったので、場が和んでいる時に鳴いてみた。
「クル・・」その途端、彼の手がすばやく俺の口を押さえた。
彼は俺の口を押さえたまま、
ノーボットンの会員をいかにして増やしていくか。の話を熱く語っていた。鳩の俺のくちばしを抑えて遊びながら、何か適当に思いついたように、雰囲気を変えた
彼はゆっくりと笑顔で言った。
「みんな服を脱いで!」
そして鳩の首を会員達の股間に装着させて、
ドアを開けて外へ何秒出ていられるかを
競うべきだ。と言った。
彼は鳩の俺の口ばしを押さえたまま、
会員達がビびりながら外へ出、
そして帰って来る光景を眺めていた。
彼と彼らは嫌々そうに、しかし子供の命を救うという大義名分のためか
どこか誇らしげに、それを行っていた。
俺は口ばしを振り、彼に叫んだ。
「クルックウ!!(このキチガイ!)」
彼は俺を見ずに、自分も参加しようかと、服を脱ぎ始めた。
鳩は糞まみれの世界で、窒息死した。
太陽
黄身の巨大が粘つく午後
俺は、彼の股間に装着され昼間の町へと飛び出した。
彼は、裸で、股間に鳩の生首を装着している姿を見られるかも知れない現実とのつながりを期待し、焦り、紅潮する顔で辺りを無制御に見回していた。
それは、まるで
この
クソまみれの世界で
窒息しそうな子供に見えた。
彼か俺かが鳴く。
「クルックー!クルックー!クルックー!クルックー!
クルックー!ドゥー!!」
「全滅判定クルック」
ひずむ日々
揺れる車内には人のにおいが回り呼気を乱していた。
人間が2人、話をしている。
女と口づけをした。黄身が甘く濡れた。眩しく素晴らしい幹線道路沿いの田舎町。どんな事柄にも何の大した道程など表れはしなかった。
俺は鳩料理というものを食べたことがないのだが、この世にそれはそれなりに存在しているのであるらしい。
俺が平和公園の鳩の一羽になったとして、青森で鳩料理を提供する店屋の主人が、どうしても数が足りず、平和公園で捕まった食われる鳩。俺は鳩だから、意識はそう深い箇所に根ざしてはいない。いやむしろ、浅ければ浅いほど、この世界の心理の表層の一部を担っているのかも知れぬ。
俺はその主人の店へと連れて行かれる中古車の内部で、いつもと違う環境下に置かれていることを感じ取る。
日差しが、滑らかに車内を熱しそのさらに箱内部、俺の羽肉を温める。それは偽善的な化学兵器のように、肉の温度を上げる。電信柱や雑木林が光源の明滅を、走行する中古車に当てる、目が泳ぎ、俺はペニスを突き立て、メスの鳩を探してばかりいた。
しかしその行為に大した意味も哲学もなかった。
車輪は止まり、部屋へ連行される私は、遮断された部屋で捕獲されている。誰かがやってくる。それは俺を捕獲した主人だ。主人は中年の太った男であるのだが、ラメのビチビチに締め付けられた女性用水着を着用している。肌色が幼稚にはみ出し、胸の垂れた肉が揺れている。主人は独り言のような奇声を発する。
「アハアハアハアハアハアハアハハアハ!」
と真面目な瞳で近づいてくる。彼は名前を呟くが鳩だから意味がわからない。
俺は肛門に巨大な穴を空けられる。おじさんは勃起したペニスを突き立てる。しばらく前後にゆすられ、私の俺の僕の毛細血管と薄明るい精神性が擦り切れる。私は何度も「クルックドゥウ!クルックドゥウ!クルックドゥウ!」と鳴く。
おじさんはすぐに逝き、俺の摩耗した内部の肉がぬるい液体で強く湿った。
おじさんは舌打ちをし、「コレジャないか」と言って蛇口を回した。私の湿った穴はカルキ臭であふれた。呼吸がままならず、すべてが灰色に点滅した。体温の調節をしようと考え、太陽に意識をやったが野外は見えなかった。窓が無かった。2秒して死ぬのではないかなと思った。 ああ、私の首は何のためらいもなく落ちた。
おじさんに子どもはいない。正確にはいたのだが死んだのだ。彼の子どもは3歳の時に、汲み取り式便所で糞尿を排泄していた時に過って落ちてしまった。おじさんの子は糞尿にまみれて窒息死したのである。
おじさんと妻の間には、しばらく悲しい時間が流れた。それから何年か売れない小汚い飲食店を営み続けていたのだが、ある日突然思い立つ。
おじさんと妻は、悲しいわが子の事故死を、もう二度と繰り返さないために、汲み取り式便所を失くす会「ノーボットンの会(NBK)」を結成し、インターネットのホームページや、全国の小学校や老人ホームを回り講演を行うのである。
彼は我が子が死ぬ前までは、なんにでも後ろ向きな気の弱い男であり、学歴も無く、趣味は自慰とパチンコという人生のある一定水準からすれば、敗北者側であり、彼自身もそれを自覚していたのであるが、我が子が糞まみれになったことによって、少しずつ変わっていったのだ。
子どもが死んだという事実は彼を変えるためには十分過ぎる理由であったのだろう。
そして彼は思っていた。子どもが死ねば、みんなが同情してくれる。みんなが話を聞いてくれる。みんながノーボットンの会に金をほぼ募金してくれる。糞まみれの子ども万歳!と思った。私が子の死を掲げるという、少し弱い効力の肛門様の印籠を手にしたのだ。と。
人はさまざまな瞬間、変わるときがある。それは1本の映画であったり、どこか遠い旅路の果てであったり、死ぬほど追いつめらた瞬間であったりするのだが、彼の場合は子が糞まみれで死んだことであったのだ。
一度、ノーボットンの会のメンバー数人と、山へハイキングへ行った時のことであった。
山林に建つトイレが汲み取り式であった。
彼は、それを見て本当は会員の若い女にいかに自分が悲しんでいるか、その私の内部をどれくらいの濃度で調節して話せば、若い女が私にどこまでの何を許すのかなどを考えていたのであったが、少ししょうがなそうに、そもそもこの汲み取り式便所に憤怒した態度を取らなくては、若い女が集まらなくなるような事になってしまうではないか。この会に人が集まらなくなることだけは避けなければならないのだ。と思っていた。
そこで彼は悲しみと怒りの声を絞り出すのだ。「責任者はいったい誰なんだ!山林のトイレが汲み取り式だなんて。ふざけでる!真夜中のカップルの片割れが、もし用を足したら、脚を踏み外して暗闇の淵の死人になっちゃうじゃないか。ふざけるな。こんなことは許してはいけないのだ。責任者は誰だ。夜のことを考えていない責任者はいったい誰だ!」
10メートルほど奥まった先にある掘立小屋に山林管理事務所があり、ドアが開く。屈強で浅黒い男が、彼の前に立つ。
彼は面倒くささと、知らない人、対人感で軽くパニックを起こすが、その気持ちの矛先を怒りに無理やり変えて浅黒い男に掴み掛った。その方が周りの会員がすぐに止めに入って、この騒動はすぐに終わると思ったのだ。
「お前はー死ねー!」
と行き過ぎた感情で早く誰か止めに入れという思いで
恫喝するが、他の会員はあぐねていた。
浅黒い男は頭のおかしい男が何か言っている。と困惑していた。
ボットンの会会長は恐怖を思い出す。ああ知らない、きっと私より人間的にも良い人間だろう人間が私を不快に思い、多分ある一定の線を越えてきたら、殴る腹積もりでいるのだろう。そうしたら、あの若い女は私の怖がっている表情や怖がっているのをばれないように強がっている表情なども完全に見抜き、セックスをしたいと思う何ミリかの気持ちが限りなくゼロに近づいてしまうだろう。何かをどうにかしなけりゃならない。ついでに他の会員もみている、彼ら彼女らの何人かが抜けてしまうと会費が少なくなってしまう。そうしたらスカパーのチャンネル登録の数を減らさないとダメになってしまうのがすごく嫌だ。本当に何とかし なければならない。
仕切りなおしだボットンの会会長は、浅黒い男に穏やかな口調で話した。
「君は結婚しているのかい。子どもは?」
浅黒は何か言おうとしたが、会長は遮った。
「私の子どもはね。3歳で死にましたよ。窒息死ですよ。それはもうかわいい子でした。男とか女とか、まあ良いでしょう。そんな事。一緒に雛祭りをしたり、嫌、そんな特別なイベントとかは関係ないんですよ。それよりも普通に過ごす、何でもないただの1日1日の素晴らしさを今も思い出しますよ。すばらしい日々だった。しんだんですよ!うちの子どもはね。一緒に、ごはん食べたり、ケンカして子ども叱った時に、脅すつもりでアイスピック持ち出して刺すフリしたら本当に眼に刺してしまい、あわてて医者に連れて行った時とか、転んだって医者に言え!!って命令したら、ちゃんとそう話してくれたりしてねえ。本当にかわいい子どもでした。それが無。
ぜーんぶ無。ナッシングになっちゃったんですよねえ・・・。私の子どもは汲み取り式の便所に落ちて死んだんですよ!ああ4!?
。私の子どもは汲み取り式の便所に落ちて死んだんですよ!。私の子どもは汲み取り式の便所に落ちて死んだんですよ!。私の子どもは汲み取り式の便所に落ちて死んだんですよ!その気持ちが親でも無いあなたにわかりますか?!」
浅黒いは、結婚して子供がいると言った。
がすぐに
「私の親じゃないダロ!!あんたは!私の死んだ子供の親は私なんだよ!!ああコラ!私達はね!そんな子どもを二度と出したくないと思って、このノーボットンの会を結成したんですよ。会長は私で。今、会員は6名ですよ!この前まで先月の頭までは7名だったんですがすがね。」
彼は声を潜めで言った。
「会員集めのために、こういった何もない山なんかに来て、親睦を深めたりしているんですよ。」
彼は、思いの他、相手が黙って話を聞くので、だんだん気持ちが晴れやかになってきた。
他の会員が近くで聞いているので自分に都合よいような話をしようと薄く考えた が、すぐに忘れた。
クルックドゥー!
「私は会員を集めるために食事会を開こうとしたんですよ。その時にね。私の子どもはええまあ、処女のまま死んだから「レモンの会」と名づけた食事会をね。開催する計画があったんですよ。会員の室不二さん。50代の女の方なんですけどね。彼女に話をしたんですよ。彼女を上半身だけ裸にするんですよ。食べ放題の焼肉屋さんなんかで。そして彼女には娘がいるのです、こっそり娘さんを呼ぶんですよ。
そして、ステージの後ろから上半身裸の娘が現れるんですよ。お母さんの方は、娘さんが背後から現れた際に驚いてもらうんですよ。スター物まね王座決定戦とかで、後ろから本人登場でびっくりって挙動するものまね芸人の奴らいるでしょう。そんな感じでね。
でもサプライズといっても室不二お母さんの方には前もって話しておきますよ。そうしないと誘拐になっちゃって警察に何か聞かれたりするんでしょ。
そのステージ上、そこで室不二親子は私たち会員に囲まれて囃し立てられるのですよ。
それで彼女たちの乳首が擦れあって、何かが鼻腔の奥でパチンと鳴っちゃったりしてね。快楽的な事とまでは言いませんがね。そして私が登場。笑顔と颯爽と軽快な雰囲気で、フフ、右手に三個!左手に三個!の切れ目の入った黄色いレモンの固まり。彼女たちの体に、上半身のみに、レモン汁を絞りかけるわけですよ。それを舐めることなんてしませんよ。
そこで音楽が流れてくるのですよ。
娘の好きだった曲、はやてのようにザブングルの曲がねえ!私はモーニングを脱ぐと、上半身裸で緑色に着色していますよ。焼肉焼いてる客らは好奇の目で見てますわな。そして会員の皆さん全員でサビの部分を替え歌で大合唱するのですよ。」
浅黒い男はもういなかった。彼はそのことにに気づいていたが、最後まで話したくて気にせず自分の内部で話し続けた。10メートル先、木々の一つの幹に、藁人形らしきものが見えたのだが、全くどうでもよかった。
「他の会員皆裸です。肌の色は青で着色してあります。歌詞は、娘は飲むよーレモン汁、誰よりもー!ってね。それで戸惑う娘の表情をとにかく見ることがある意味、我が娘への供養と私たちノーボットンの会の哲学の一面を表すには最適だと考えたわけなんですよ。それを何とかね実現しようと室不二さんの娘さんをぜひ説得させるために、今夜わたし側の家、近所の公園まで娘さんを一人でよこしなさい。一応裸のチェックなんて事はもちろんしないので、まあできるならば、体にぴったりと張り付く服を着てきなさいな。まあ軽い気持ちで遊びの延長だと思って来なさいな。もし嫌がったら、ノーボットンの会の会費の支払い持ってっ てとかテキトウに言って12000円持たせて公園まで来させなさいや。」
クルックドゥー!
それ以来室不二さんはもう来なくなった。
その話を聞いていた会員の一人、親の借金の連帯保証人になり、催促の手紙や電話が来るたびに胸の骨が痛みだす今正明40歳は、本当に残念でしたねえ。室不二さんは偽善者ですよねえ。と言い、完全に娘の体を、好きなように会員たちで触れるチャンスを失くしたことだけ後悔していた。
クルックドゥー!
彼の冴えない喫茶店にて開催された、
ノーボットン食事会にて俺は首だけになり
皿の上に盛られた。
みんなで談笑している時に俺は、鳴いてみようかと思った。
もちろん死んでいるわけだし、
俺は鳩だからそんな事考えられないんだけど
そうしたかったので、場が和んでいる時に鳴いてみた。
「クル・・」その途端、彼の手がすばやく俺の口を押さえた。
彼は俺の口を押さえたまま、
ノーボットンの会員をいかにして増やしていくか。の話を熱く語っていた。鳩の俺のくちばしを抑えて遊びながら、何か適当に思いついたように、雰囲気を変えた
彼はゆっくりと笑顔で言った。
「みんな服を脱いで!」
そして鳩の首を会員達の股間に装着させて、
ドアを開けて外へ何秒出ていられるかを
競うべきだ。と言った。
彼は鳩の俺の口ばしを押さえたまま、
会員達がビびりながら外へ出、
そして帰って来る光景を眺めていた。
彼と彼らは嫌々そうに、しかし子供の命を救うという大義名分のためか
どこか誇らしげに、それを行っていた。
俺は口ばしを振り、彼に叫んだ。
「クルックウ!!(このキチガイ!)」
彼は俺を見ずに、自分も参加しようかと、服を脱ぎ始めた。
鳩は糞まみれの世界で、窒息死した。
太陽
黄身の巨大が粘つく午後
俺は、彼の股間に装着され昼間の町へと飛び出した。
彼は、裸で、股間に鳩の生首を装着している姿を見られるかも知れない現実とのつながりを期待し、焦り、紅潮する顔で辺りを無制御に見回していた。
それは、まるで
この
クソまみれの世界で
窒息しそうな子供に見えた。
彼か俺かが鳴く。
「クルックー!クルックー!クルックー!クルックー!
クルックー!ドゥー!!」