「家族写真」/荻原 浩(講談社)
久しぶりに荻原さんの作品を読んだ。
今回はそれぞれ中高年男性たちが主人公となる。
中高年といえば、娘の結婚、加齢や肥満、マイホーム購入、父親の脳梗塞。
一年に四季があるように、それぞれの家族にも様々な事象が訪れる。
それは大なり小なりどこも同じような悩みと課題を抱えながらも、
避けて通れないそれらの事象を、笑いあり、怒りあり、涙ありで描いていく。
根底にあるのはやはり愛すべき、頼るべきは家族なのである。
目 次
・結婚しようよ
・磯野波平を探して
・肉村さん一家176kg
・住宅見学会
・プラスチック・ファミリー
・しりとりの、り
・家族写真
面白かったのは、「磯野波平を探して」。
実は僕も知らなかったのですが、サザエさんの父である磯野波平さんは
54歳だったんですねぇ(笑)
前に長谷川町子記念館に行ったのになぁ(笑)
実際にはもっと上で定年間近の年齢だと思ってました。
もちろんTVにおいては、誰もが知る長寿番組でありながら、
少しも歳をとらない磯野ファミリー(笑)
この主人公は、同い年である波平を妙に意識する。
もちろん、ライバル視的な意識ではないが。
ある日、波平の加齢を恐れない潔さに比べ、薄毛を気にする
自分(波平さんは心配の必要はないが)や、
取り付かれたようにジョギングする同年代の姿に、
「若さイコール善なのか?」と疑問を抱くようになる。
主人公は加齢への抵抗というアウェイなレースから降り、
歳相応の暮らしをおくろうと決意する。 なにも波平を意識しなくても
いいようなものだが、比較としては波平さんには申し訳ないが
非常にわかり易い設定だと思う(笑)
「結婚しようよ」は吉田拓郎の歌詞に重ねたような物語だが、
拓郎と言うと重松清さんを思い出すが、昔、重松さん、
荻原さんと二人でペニーレーンで弾き語りをしたとか(笑)
原宿ペニーレーンといえば、そのそばで
まだ恋愛中の拓郎と浅田美代子に会ったなぁ
「家族写真」は昔観た『村の写真集』という映画を思い出しました。
最近も疎遠になった家族があるキッカケで、
元の鞘におさまる的映画もあったような・・・。
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