「御松茸騒動」/朝井まかて
算術が得意な江戸育ちの尾張藩士・小四郎はそれを活かして
藩財政の立て直しを夢見ていた。 しかしながら、身内に、武士でありながら
刀を盗まれるという一大事。 そのせいで「御松茸同心」を拝命。
今までと180度違う生活に戸惑いながら、ノルマは殿への
上納2000本。 尾張の山守に助けられながらも松茸不作の原因を
探る日々が始まった。 やがて小四郎は、山に魅せられ、
自分の生きる道を切り開いてやがて、幕府に蟄居を命じられた
傾奇大名・徳川宗春公の幻影までちらついて。
今までのまかてさんの小説のテイストは十分活かされていましたが、
今までの作品に登場するキャラクターに比べると、
やや強烈な個性が出ていない分、変化の無いものになっていました。
「御松茸同心」ってどころの着眼点はユニークでしたが、
小四郎の苦心、苦学、体得等、そしてそれに纏わる
彼を取り巻く人たちのキャラが、残念ながら活かされきれずに、
最後の最後の作品の山を築けず静かに終わったという感じ。
彼女の文章力は、思わず惹き込まれてしまう不思議な力を
持っているにもかかわらず、今回は割りと平坦で、
すんなりと結ばれた感じで。
今までが凄すぎたのかもしれないなぁ(笑)
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