「殉愛」/百田尚樹(幻冬舎)
大学時代にたかじんのライヴを見たことがある。
今、世間ではこの本の真意とさくら夫人の履歴がネット上で氾濫している。
プライバシーのない恐ろしい世の中になったものだ。
百田氏が仮に脚色して美談に仕上げているかもしれないが、
過去にどんなことがあったとしても、この身を削ってでも徹底的に
看護した彼女の生き方には頭が下がる思いだ。
この本を本当に読んだ人だけが感じ考えればいいだけのことだ。
でも、たかじんが死んだことで関西のTVは面白くなくなって
いることは否めない事実だ。 「ドクターX」でも登場しないと(笑)
「死に支度」/瀬戸内寂聴(講談社)
瀬戸内寂聴(当時晴美)さんの書籍は大学生の頃良く読んだ。
もちろん寂庵にも行ったことがある(ベルボトムのジーンズが殿中でござる状態で)。
著者が「90歳を機に、どんな死を迎えるべきか考えようと書き始めた」という物語。
だが中身は91歳の誕生日を目前にした寂聴さんと、寂庵で長年付き添った
女性スタッフたちとの、共に過ぎ去り日を振り返り、改めて自身の足跡と人との
係わり合い、スタッフの共栄等々、それを面白可笑しく語っている回想録のようなもの。
永らくの(作家としての)ライフワークと寂聴式エンディングノートのような。
「ミッキーは谷中で六時三十分」/片岡義男(講談社)
・ミッキーは谷中で六時三十分
・三人ゆかり高円寺
・酔いざめの三軒茶屋
・お隣のかたからです
・タリーズで座っていよう
・吉祥寺ではコーヒーを飲まない
・例外のほうが好き
片岡義男といえば代表作「スローなブギにしてくれ」。
映画化もされたが、どちらかというと主題歌を歌った
南佳孝の楽曲の方が記憶に残っている。
ここでは、喫茶店を中心に、色んな人間模様が繰り広げられ、
その中で人間同士の“化学反応”を起こさせる。
谷中、高円寺、祖師ヶ谷大蔵、三軒茶屋、経堂、下北沢、吉祥寺、渋谷と
東京のあちこち町での出会いを描き出していく。 あくまで片岡義男の流儀で。
・それでは二人組を作ってください/朝井リョウ
・隣の空も青い/飛鳥井千砂
・ジャンピングニー/越谷オサム
・女子的生活/坂木 司
・鳥かごの中身/徳永 圭
・十八階のよく飛ぶ神様/似鳥 鶏
・月の沙漠を/三上 延
・冷やし中華にマヨネーズ/吉川トリコ
人は誰かと出会い、そしてその延長線上で“一つ屋根の下”に暮らすようになることもある。
そこで様々なドラマが展開される。 腐れ縁の恋人たち、趣味の似た女の子同士、
傷心の青年と少女、出張先の先輩と後輩、住みついた妖怪と僕等々、8人の作家が
それぞれの感性で、また様々なシチュエーションで描いているオムニバス小説。
この本を選んだのは、坂木 司さんの書いたものが読みたいと思ったのがキッカケ。
今では当たり前の夫婦生活も、元を質せば別々の男女。
ふと、自分たちの足跡を思い返したりして(笑)
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