「神様の休日-僕らはまためぐり逢う-」
岡本貴也(幻冬舎)
これが事実にそった話だと聞いて、
あの日、あの時、自分も電車の中に閉じ込められ、
1時間かけて家まで歩いたときの、
今までに感じたことのない寂しさをまた思い出してしまった・・・。
すべてを失った主人公は、生きるために、
復元納棺師となって、数々の死と対面する。
22歳のフリーターの彰紀は、地元の美容師・えり奈と出会う。
初めて愛に触れた彰紀は、周囲の反対を押し切りえり奈と結婚。
家族を守るために漁師になって必死に働き出す。
長男も生まれ、二人目の出産を控えた幸せの最中、東日本大震災が起こる。
長期間の漁のため、船に乗っていた彰紀が初めて次男を抱いたのは、
泣くことも、笑うこともできない冷たくなった我が子だった。
すべてを失った彼は、故郷を離れ、ひとり死ぬことを考える。
死ぬこともできなかったある日被災地でボランティアとして
働いている復元納棺師の存在を知る。
死ぬ前に、自分にはできることがあるかもしれない、と弟子入りする。
通勤電車の中でこの本を読んでいたのだが、
何度も涙が出るのを堪えられなかった。
実際にあの地震や津波を経験し、
やっとえり奈と出会って人を愛し信じることを覚え、
二人目の子供が産まれてすぐに、
愛する妻と可愛い子供は津波にのまれてしまった。
東日本大震災のほんの一部の家族の物語かもしれない。
きっとこんなストーリーがあの後、たくさんあったのだろう。
十分な復興も無いままに、それでもその地に残り、避難生活を
送っている人たちの気持ちはわからない。 だけど、この中で、
まだ見つからずに見送ってやることができないから
この土地を離れられずにいる。 それが事実。
そして自分の悲しみを乗り越えて、愛ある送り人になった主人公。
ふと、忘れそうになっていた『おくりびと』を思い出した。
今年も3.11が来る。 あれから4年・・・。
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