◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

これはインボイス会計の陰謀っす!

2023-09-22 | インボイス
大変ご無沙汰しております。
お元気でしたでしょうか。

皆様にとってどうでもいいことですが、私は相変わらず某金融機関で組織内会計士として
特段何の貢献もしないまま馬齢を重ねつつ、会計税務部門で余生を過ごしておりました。

ところが時代は私に休息を与えてくれません。
コロナ、ウクライナ危機、WBC、超円安と物価高(WBCは関係ないか・・・・)。
これで私の老後の不透明感が急激に高まってしまいました(特にインフレが・・・・)
この思いを吐き出さないと精神衛生上マズイことになります。
ということで、すっかり埃をかぶったこのブログを再開することにしました。
発作的に気づきとか備忘メモを投稿してまいりますのでお楽しみに。

さて記念すべき第1回、すでに色々な会計士先生方が取り上げられているとは思いますが、
先日受講した会計士研修で取り上げられた極めて興味深い論点をご紹介します。
私も会計プロのはしくれとして、「この会計処理は一体何なんだ!」と声を上げてしまいました。

火元の1つは「令和3年改正消費税経理通達関係Q&A」にあります。
この資料の6ページ目をご覧ください(以下抜粋)
免税事業者等から課税仕入れの形で資産の取得、経費の支出を行った場合、とんでもないことが起こります。
(以下引用)
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Ⅱ 免税事業者から課税仕入れを行った場合の法人税の取扱い
問2 当社(飲食業)は、インボイス制度導入後である令和 11 年 10 月1日に免税事業者から
国内にある店舗用の建物を取得し、その対価として 1,100 万円を支払いました。当社は税
抜経理方式で経理していますが、この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなり
ますか。

【回答】
1,100 万円を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります。
【解説】
インボイス制度導入後(令和 11 年 10 月1日以降)は、課税仕入れであっても適格請求書又
は適格簡易請求書の保存がないものは仕入税額控除の適用を受けることができないため、適格
請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの
課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税額はないこととなり
ます
(新消法 30①)。
このため、法人が税抜経理方式で経理している場合において、適格請求書発行事業者以外の
者からの課税仕入れについて仮払消費税等の額として取引の対価の額と区分して経理する金額
はなく、支払対価の額を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります
(新経理通達 14 の2)。
※ 所得税に係る消費税経理通達についても同様の取扱いとなります(所得税に係る消費税経理通達 11 の2)。
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(引用終わり)


分かりやすい例をお示ししますと。
建物を1,100万円で現金で取得しますと、

令和5年9月30日までは皆さまご存知のこのような仕訳で処理できます。
(借方)建物   1,000  / (貸方)現金 1,100
    仮払消費税  100

ところが、
令和 11 年 10 月1日以降は、なんと
免税事業者等からの課税仕入について、『仮払消費税はない』こととなるため
(借方)建物   1,100  / (貸方)現金 1,100
となってしまうのです。

さらに問題をややこしくしているものがあります。「経過措置」です。
先ほどの日付けをご覧ください。令和11年10月1日以降になっていますよね。
ご案内の通り、免税事業者に係る仮払消費税をいきなり認めなくすると大混乱が起こるので、「当面3年間は80%分、その後の3年間は50%、仮払消費税を計上していいよ!」という経過措置が設けられたのです。

したがって、例えば令和5年10月1日に建物を購入すると
(借方)建物   1,020  / (貸方)現金 1,100
    仮払消費税   80

3年後の令和8年10月1日ですと
(借方)建物   1,050 / (貸方)現金 1,100
    仮払消費税   50

これって会計上おかしくないですか?ってことで、公認会計業界が密かに盛り上がっているらしいです。

「こんな処理はおかしいし管理が面倒ですよね?」
「ですから免税事業者等との取引はやまめしょうよ」
という声が聞こえそうな。

これぞインボイス会計の陰謀かも。
おあとがよろしいようで。
またいきます。
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