四半期レビュー報告書は企業が作成した決算(財務諸表)について、不適正な表示を疑わせる点がないかどうかを報告するもので、大きく以下の4つの結論が用意されている。
・無限定の結論……適正である(不適正表示の疑いはない)
・限定付結論……一部に不適正表示の疑いがあるが、決算全体に否定的な影響はない
・否定的結論……一部に不適正表示の疑いがあり、決算全体に否定的な影響を与える可能性がある
・結論の不表明……判断材料の不足などにより、不適正表示の有無について判断できない
注意しなくてはいけないのは、「否定的結論」と「結論の不表明」については、そのことが株式市場の秩序を乱すと各証券取引所が判断すれば、上場廃止とする可能性がある。つまり、証券取引所で株式を売買できなくなってしまうかもしれないということです。
リリースを見ておりますとまだ調査しなくてはならない項目があり、外部調査を委託したとのことですので、その結果次第ということなのでしょう。こちらのドラマも予測不能なのでフォローしていきましょうか。
会計士協会では、会計不正の代表例として循環取引に対する研修がしばしば実施されますが、東京産業の場合は、税務当局による税務調査によって問題が発覚したとのこと。会計監査で見抜けなかったと言うところが辛いところです。
しかし、東京産業の業績推移を見ていると、比較的業績は良好ですが、営業キャッシュフローがマイナスの期が散見されます。
会計士協会の研修資料を改めて見返してみると、以下の通りしっかりポイントが書かれてましたね。やはり基本に立ち返るっていうのは大事かと。
「不正の兆候」は貸借対照表とキャッシュフローに顕在化
→ 「取引先別売掛金・買掛金残高」「品目別棚卸残高」
→ 残高が急増・急減している「合理的な理由」はあるか
→ 残高の変化は被監査会社の経営方針に合致しているか
損益計算書(=仮装・隠蔽された結果)には「不正の兆候」は表れない
・売掛金・買掛金残高の急増は,「架空売上」「循環取引」の前兆
・棚卸資産残高の急増は,「売上原価の先送り」を疑う ⇒ 実地棚卸
・利益が出ているのにキャッシュフローが赤字(悪化)
→ 過去に「倒産」事例がもっとも頻発している粉飾パターン
やはり、営業キャッシュフロー、しっかり見ましょうね!
それではまた!ありがとうございました!