◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

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会計士協会の「日銀バランスシート政策」研修に思う

2024-02-13 | 会計・株式・財務


いつもご覧下さり、誠に有難うございます!

先日、会計士協会で日銀バランスシート問題についての研修がありました。
講師の著作は過去から読んでおりますが、最新作はさらに挑戦的な装丁となってます。

橋爪 大三郎氏による書評ポイントを簡潔にまとめていたのでご紹介。

日本銀行はタイタニック号だ。黒田総裁が「異次元緩和」を10年続け、国債を560兆円買い取った。《ひとたび利上げ局面に入れば…数十兆円単位…の…債務超過…が…数十年単位で長期化する》。だから意地でもゼロ金利なのだろう。このままなら氷山と衝突は時間の問題だ。

財政も道連れで破綻する。本年度予算114兆円のうち31%は国債が頼み。歳出も22%が国債費。将来国債が発行できなくなったら、歳出は国債償還が最優先。残りは《社会保障費も防衛費も…4割カット》になるはず。背筋が凍る見通しだ。

著者は日銀や日本総研で腕を磨いた専門家。《2000兆円を超える家計貯蓄があるから…、国債のほとんどを国内で消化しているから》大丈夫、を俗論と一蹴。
敗戦後の政府は、GDPの267%(現状とほぼ同じ)もの国債償還のため、預金封鎖と新円切り替え→高率財産税で財源を確保した。最後はこうなる。

日銀は中央銀行の自律性を取り戻しなさい。
日銀と政府の暴走を見過ごしてきた国民も《“甘え”や“無理解”、“無責任”》を脱却しなさい。後の世代に借金のツケを回さない。
国を憂うる必読の正論である。
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研修自体も大筋、上記書籍のストーリーに沿った内容でした。レジュメの中から、印象に残ったポイントを備忘のために書き残しておきます。

⚫️わが国の安定的な財政金融政策、運営継続のための課題(抄)

○日銀の事実上の「財政ファイナンス」、「金融抑圧」に依存した財政運営継続は不可能

○我が国にとって、当面の最大のリスク要因は円安(ここで止まるように!)
ー金融政策運営の調整が追いつかず、さらなる急激な円安を招来し、日銀が利上げに追い込まれる形になれば、これまでわが国が目をそらし続けていた、日銀や財政が抱える問題点が、一気に噴出し、財政運営が行き詰まりかねず

○目指すべき方向性は、「市場メカニズム」の回復
=市場金利は市場が決める。
わが国の財政運営と日銀の金融政策運営に対する市場の信任によって、長期金利の低安定と為替レートの安定を実施すること

○具体的には、民間投資家が国債保有の中心となり(=先行きの金融変動リスクは、市場が負う)
長期国債中心の安定的な国債発行による安定的な財政運営

⚫️安定的な経済運営継続のために求められる財政運営
(中略)
・コロナ禍でわが国の家計貯蓄は大幅に増加。
・担税力のある、経済的な余裕のある層は間違いなく存在
ー彼らにターゲットを絞った増税を考えるべき(所得税、法人税、金融所得課税等)
ー消費税率引き上げの余地も(積極的に消費する高齢富裕層の負担を期待)。
ただし、逆進性への抜本的な対応(軽減税率ではなく、給付税額控除の採用等が必要
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正論すぎて反論の余地はございません。
しかし、では実現できるかと言うと、まぁそれも厳しいんでしょうね。

感覚的ですが、日本国民の悪いところで、空気を読みすぎ、誰も責任を取れず、太平洋戦争末期のようにズルズル破滅まで向かってしまうのかなと。

会計士ができることは、富裕層の顧客に日本からの資産逃避を指導することくらいですかね。

やはり為替が鍵を握っているんですね。財政への信任が失われ、150円を大きく超える円安にならないことを切に祈ります

以上、肝を冷やすのに十分な内容でした。できれば真夏に受けたかったなぁ。

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