実に久しぶりに彼らのレヴューを書いてみる気持ちになりました。
考えてみれば1年近いブランク。待ってみるもんです(笑)
嵐
「愛を叫べ」
2015/9/2リリース
ジェイストーム
JACA-5472~5473(初回限定盤)
JACA-5474(通常盤)
最初は書くつもり無かったんですよ。タイトル曲を断片的に聴いた感じや、テレビでのパフォーマンスを見て「カッコ悪いなぁ」(ファンの皆様、申し訳ありません)と思っちゃったから。
ただ、あのサビは良くも悪くも耳に残る。そのキャッチーさはCM曲としては大事な要素であり、クライアントの要求に十二分に応えている訳で。
あのパフォーマンスにしたって、ベタな感じが結婚式を盛り上げるという目的には合致している。楽曲だけでは語り切れない様々な要因が、この曲を呼び寄せているんだと思えば、その意味が理解できるようになった。
そして、書く気にさせた最大の理由が、カップリングと構成を含めたシングルとしてのバランスとメリハリの良さ。シングルであっても全体の抑揚や緩急が大事なんだと改めて思わせてくれたことに感謝したいくらい。通常盤に関しては、個人的に「とまどいながら」や「迷宮ラブソング」の通常盤に匹敵する完成度だと思います。
タイトルチューン「愛を叫べ」の作曲は100+、編曲は100+と佐々木博史というお馴染みの面々。「ハダシの未来」を下敷きにして更にベタにキャッチーに仕上げた、ある意味で究極の宴会ソング。まぁ考えてみれば、こんな曲を出せるのも嵐だからなのかなとも思うんですが。
初回・通常共通のカップリング「ユメニカケル」の作曲は古川貴浩、編曲はha-j。こちらも安定のha-j氏と多方面で活躍する古川氏という面子。クリエイターが日本人単独だとホッとするのは何故なのか(笑)。非常に美メロでスケール感のあるミドルチューン。3分40秒過ぎの大野くんソロが実に印象的。通常盤の場合、この曲が3曲目に位置している事が実に効いていて全体のバランスを取るのに寄与していると思います。
初回盤カップリング「Mr. Lonely」の作曲はTrevor Ingram、岡嶋かな多、Stephen Ruddenで編曲はTrevor Ingram、A.K.Janeway。岡嶋氏はスウェーデンのロースティングハウス(サウンドグラフィックス社の提携音楽出版社)と契約してるみたいだから、ここ数年主流の制作ラインですね。Stephen Ruddenって、もしかしたら昔“Love City Groove”というユニットやってた人かも。曲聴いて、なんとなくそんなコトを思った。ちょっと90年代の匂いがするエレクトロチューンで嫌いじゃないんだな、コレ。
しかし、このシングルの眼目は通常盤のカップリング2曲。
「It's good to be bad」の作曲はGigi、wonder noteで編曲はOctobarとなっていますが、情報が無い(苦笑)。曲の感じからはスウェーデンラインの匂いが漂うけど、歌メロの端々に微妙なJ-POP臭もある。美しいピアノが全編を貫くEDMだが、暗めのトーンが気にならないくらい良いメロディ。インストのピアノハウスなサウンドが好きですね~。1曲目の明朗さに対し、コレが次に流れ出すことでメリハリの効きがハンパない。
そして「I say」のカッコ良さが素晴らしい。嵐の楽曲で、これだけ好みにドンピシャくるのはホントに久しぶり過ぎて涙が出そう(笑)
作曲はsk-etch、BERT、ROLFで編曲はsk-etchとなっていますが、REACTIVE SONGS INTERNATIONAL(ジャニーズが出資しているスウェーデンの音楽出版社)所属と思しきBERT、ROLFは大野くんのソロ曲「Hit the floor」の作曲者3人の内の2人。そういえば疾走感のあるファンクグルーヴでメロディに親しみがある感じが近いモノがあるかも。正体がわからないsk-etchにしても、アレンジの腕は確かだと感じます。緩急の効いたストリングス、軽やかにドライヴするギターカッティング、全体を貫くグルーヴィなベースライン、角松敏生を彷彿とさせるギターソロ・・・・実にカッコいい。が、カッコ良すぎて大衆を寄せ付けない感じが無いのもイイ。嵐ならではの、とっつきやすいグルーヴチューンに仕上がっているなと思いました。
願わくば、この曲をテレビで披露して貰えないかと思います。こんな曲を、当代一の人気グループがお茶の間に届ける。そんな光景を見てみたいと思うのです。