作家は皆、無名のまま、この世に生まれて来る。 なのに、一夜にして名を成す者がいれば、その才能を見出されることなく、一生無名で終わる者もいる。 詰まるところ、作家が念頭に常に置いておくべき第一義は、功名心にはやることなどでは毛頭なく、『人よりいくらか気の利いた想像力』と『自ら地道に磨き上げた技術』とで『少しでも質の高い作品の制作を目ざす』という、まさにこの一点に過ぎないのである。FINIS