きみの靴の中の砂

ぼくは少し緊張するのだった





 行く夏を惜しむ ----- 八月の終わり ----- 年ごとに、ふと心に沸き立ち、何度も繰り返されてきた想い。

 それは、夕暮れの避暑地の古いホテルのテラスだったり、あるいは早朝、狭い水道の海を見下ろす急な階段を降っていた時だったり、時には、陽が落ちて街灯に灯がともり、どこからかロッシーニの序曲でも聴こえてきそうな南欧のとある湖畔でのこともあった。

 幸い、ここしばらくは、すべてきみと一緒の時間だ。

 今年は、きみのその白いリゾート・ドレスの襟元から覗く、日焼け跡のマーブル模様のような肌の色が、そろそろ吹くだろう今年最初の秋風を予感させたかも知れない。

 振り向きざまに、「今年もこれで夏もお終いね」ときみが言い出しでもしないかと、ぼくは少し緊張するのだった。




Juice Newton / Love's Been A Little Bit Hard On Me


 

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