海が近いと風雨で運ばれてくる海のミネラルが土中にあるため、実のなるもの・根菜などは総て美味しくなる。
毎年、梅雨入りして三日目に雨が止んでいれば、うちでは庭の梅を収穫し、梅酒造りが始まる(梅干し作りは手間がかかるので、母が亡くなってからは止めた)。収穫に携わるのは当然のようにぼくで、イチ子さんはもっぱら指図する側。
なぜ、梅雨入りして三日目に収穫するのかは、ただ単に目安なのか、他に理由があるのかは聞いてみたことはない。確か祖母もそうしていたように思う。梅の実、焼酎、氷砂糖の配合率は、それぞれの家により作法が異なるところが面白い。
ここでイチ子さんの声。
「はいっ! 手は休めないようにね」。