きみの靴の中の砂

人生は平凡な日常を第一とするのかも知れない

 

 

  ぼくとイチ子さんはそれぞれに起床する時間が微妙に異なるので、その日最初の挨拶が家のどこでするかは日によって違ってくる —— 洗面所だったり食卓だったり...。

 朝の会話となると、その日のルーチン以外の仕事についてだったり、大切な頼み事だったり、世の中の事件についてだったり...。
 時折、ここ一両日中に考えていることについて、意見を求め合うこともある。

「一年が短く感じるのは、心身ともに健全な生活を送った証拠らしいわよ。病気入院でもすると、そうはいかないってよ」。
 今朝、イチ子さんは、そんなことを言った。

 中年以降、ほとんどの人の一年は早く過ぎ、人はそれを嘆く —— それがあたかも老化に起因しているかのような口振りで...。

 イチ子説が真理なら、人生は平凡な日常を第一とするのかも知れない。

 

 

【Rose Iwanaga & The Avengers - Too Young】


 
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