きみの靴の中の砂

終わらない夏

 

 

 九月も半ばを過ぎると、ウイークデーのビーチはさすがに顔見知りのロコばかり。

                    

 日曜の午前六時。葉山にあるファミレスのモータープール。

                    

 その時間、判で押したように集まる波乗り仲間は、それぞれに目で波の高さを測る。

 待ちきれず、ボードを乗せた中古の軽トラのエンジンをかける大学生もいれば、なぁに、時間は、まだたっぷりあるんだ、とばかりに開店したての店でお茶するオフの社会人も...。

 ぼく達(ぼくと水口イチ子)は、駐車場の隅・駐輪場のフェンスに寄りかかっていた。

「今日も暑くなりそうじゃない?」とイチ子。
「そのようだね」とぼく。

 ペットのカルピスソーダを飲みながらイチ子が言う。
「先週、ホームルームで先生が、もう二学期なんだから授業中に居眠りをするようなら登校前の波乗りは止めとけって言ってたよね。受験勉強で寝不足なのと遊び疲れて眠そうなのとは成績でわかるって」
「で、ぼく達はどっちに分類されてるんだろう?」
「ウ〜ン、アタシ達は居眠りはしないけど、成績は後者の方ね」

 ぼく達の夏は、まだまだ続くように思えた。
 
 

 

【The Hollyridge Strings - Don't Worry Baby】
 
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