きみの靴の中の砂

日焼けしない程度に暖かいところへ...

 

 

 COVID-19が流行る何年か前、クリスマスから正月休みにかけてにふたりで南太平洋の小島伝いにオーストラリアまで旅したことがあった。

 あの時、きみは背中に結構な日焼けをして、散々痛いってボヤいていたっけ。

 ただ暖かい冬を過ごすんだと、なんのこだわりもなく決めた計画で、そのせいか南半球の十二月の陽射しをすっかり侮っていた。

 きみは、鼻の頭の皮が剥けたまま戻ってきた新年の東京で、『スキー帰り』だなんて言い訳してるのを聞いて笑っちゃったよ。

 それからの冬休みはCOVID-19のせいで、家に籠もって大人しくしていたけれど、懲りずにまたふたりでどこかへ冬の旅をしたい —— 日焼けしない程度に暖かいところへ...。

 


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