クリスマスが近づくと、ぼくは決まってイチ子さんのためにパエリヤ・バレンシアーナを作る。昔、西班牙のアンダルシア地方、コスタ・デルソルのマラガへ旅したときに覚えたものだ。日本で一般的に流布しているレシピと違うのは、最初に油を熱するときに、熟したトマトをふたつほど手で握りつぶすことだ ----- これにどんな意味があるのかわからないが、兎に角習った手順ではそうだ。そしてチキンを入れ、キツネ色になるまで炒める(チキンも途中からキツネへの変わり身で忙しい)。いい色になったところで塩胡椒で味付けして、チキンを一度取り出す。入れ替わりに刻んだトマト、緑のピーマン、ニンニクを入れて加熱。そしてサフランを浸けて黄色くなった水を差し、長粒種とジャポニカ米を半々にブレンドして投入。最後にチキンを戻す。炊きあがる途中で赤ピーマンの細切りとシーフードを飾る。西班牙人のように多めの水で炊いて、余った水分を中途で捨てるなどしない。
北半球のクリスマスには、炊きたてのパエリヤ・バレンシアーナの温かさは有難い。日本の冬景色と地中海の夏の情景が瞼の裏で重なる。
合わせる酒は、ジンとベルモットを 15 : 1 でステアした、モンゴメリーと呼ばれる辛口のマティーニ。
「いくらかっこを付けたいからといったって、ベルモットを霧吹きでかけるなんておかしいわよね」といつだったかきみが言って笑ったっけ。
今年のクリスマスは、取材先のフィンランドで迎えそうだと彼女からメールがあったのは、成田を発つ日の朝。
今年は暖冬で東京のクリスマス・イヴは暖かく迎えられそうだけど、今頃のヘルシンキは氷点下なんだろうか。
雪は積もっていますか。
北欧も今日からクリスマス休暇ですか。
雪のハイウェイ ----- 帰省する車のテールランプの列は連なっていますか。
Chris Rea / Driving Home For Christmas
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