きみの靴の中の砂

デルフトの眺め

 

 

 

 旅行作家・水口イチ子が、ある年の取材旅行中、パリのカンパーニュ・ブリュミエール通りの画材屋の店頭で、フェルメールの『デルフトの眺め』の複製画を見つけたとき、どうしても本物を見たくなって、日本へ帰る途中、ハーグの美術館へ寄ってきたことがあった。

 『デルフトの風景』は大分デフォルメされているようだが、フェルメールが、その絵を描いたときにイーゼルを立てた凡その場所も比定されていて、観光ポイントになっているそうだ。

 同じマウリッツハイス美術館で予想外にも『ターバンをまいた少女』も見ることができて運が良かったと喜んでたっけ。

 フェルメールが生涯暮らした街の風景を同じ街の美術館で見るのは特別な臨場感があったという。

 フェルメールの画業でたった二枚しかない風景画の一枚をプルーストやゴッホが激賞しているところを見ると、芸術家とわたし達一般人とでは鑑賞眼に大きな隔たりがあるようだ。
 
 まあ、ぼくはもっぱらイチ子の言う、『パリで食べるクロワッサンは、材料の粉が違うのか、バターが違うのか、東京で食べるのとは味が違うわよ』というひと言の方が気になったが。
 
 

 

【Tim Hardin - Reason to Believe】

 

 
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