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七月。
ローマの裏街。
数日、世話になることになったペンショーネの女将が、夕食時、今頃の日本はどんな気候なのかと聞く。
「今、四十日ほどの軽い雨期で湿度の高い日が続きます。外国の旅行者など慣れな人は、一日中サウナに入っているようだと言って嘆きます」と答える。
「でも、地中海を越えてアフリカから吹くイタリアの湿った季節風と日本の雨期の湿気とでは、どちらが人の暮らしに試練なのかしら?」と女将。
「それが風土というものじゃないでしょうか。それぞれがそれぞれの国に住む人達の気性・気質をコントロールしているように思います。どちらも試練と言えば試練だし、恵みと言えば恵みなんじゃないでしょうか」
女将によると日本の旅行者はたまに泊まるというが、極東の雨期の話をするのは初めてのようで、ところ変わればそんな気候もあるのかと、深く感心したように大きくうなずくのだった。
【Al Stewart / Time Passages】