ある日突然、アルチュール・ランボーが一切の詩作を放棄し ----- 馬鹿馬鹿しい! こんなことしてて何になるんだ、って言って(そう言ったに違いない) ----- 印刷屋からもらってきたばっかりの最後の散文詩集の試し刷りの十冊ほどをドサッと暖炉に放り込むと、サッサと荷物をまとめ、生まれ持った性格どおり、その後のやくざな人生へと身をやつしていく。その心境の変化については、本人からはなんの説明もない。家族に宛てたアフリカからの多くの手紙にも、文学との突然の決別についての真相に触れた部分はひとつもない。
数年後、アフリカでブローカーになったのは、金への執着と多少の商才が澱のように脳に残っていたからだろう。
ランボーは、何も孤高な詩人なわけじゃない。たまたま十代で人生の幸福の大半を手に入れただけのこと。今でもフランスを探せば、ランボーのレベルで詩作をする十代がいる。どういうわけだか、彼等にはランボー同様、生意気でアナーキーで鼻持ちならないやつが多い。日本だって、そんな十代の詩人をたまに見かける。
【Tyrannosaurus Rex / Get It On】
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